郡山の農業

畜産業 伊東清明さん

2012/06/29
伊東清明さん
お話を伺った伊東清明さんと奥さまの三起子さん。

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畜産業 伊東清明さん
牛の歩みのように、後退することなく一歩ずつ。

牛を育てるということ

郡山市片平町の伊東清明さんは奥さまの三起子さんと二人で畜産業を営んでいます。
3・11の震災・原発事故以来、牛肉の価格が下落し、苦しみながらも福島牛の生産を続けています。
「父から受け継いだ時の牛の数は30頭で、今は60頭に増えました。郡山うねめ牛として肥育に取り組んでからは8年ほどになります」
伊東さんは、牛を育てるのは芸術と同じで奥が深く難しいと言います。
一番の喜びは、精肉になった時の出来栄えです。
「以前はいくらで売れたかという価格でしたが、今は福島牛というだけで放射性物質が未検出なのに取引価格が下がる。自分の仕事に対する価値を枝肉の品質で測っています。文句のつけどころがない肉を作るのが目標ですが、そのような肉は10頭の内、1頭位しかできません」
牛肉の質は子牛の時に決まる部分が大きいのですが、買える価格には限度があります。その中で最も良いと思う子牛を買い、肥育の腕で目指す牛肉に仕上げます。

伊東清明さん
6月の始めに買い付けた産まれて10ヶ月の子牛。
広い牛舎に、2頭ずつに分けて肥育しています。

美味しいという舌の記憶を

「自分のイメージしたものにするためには、技術と気持ちが必要です。牛は人と同じでどこか痛ければ泣くし、涙も流す。風邪をひけば熱を出すし咳もする。寝る子は育つといいますが、牛小屋でよく眠っているかどうかなど体調を管理することが大事です」
そのような生き物を育てながら今、風評被害という大きな問題に立ち向かっています。
伊東さんは、美味しい牛肉を知って欲しいという思いで、かつて息子さんの結婚式の時に自らの牛肉を振る舞いました。美味しいという舌の記憶はいつまでも人の心の中に残ります。
「今このような時だからこそ、福島牛を食べてその記憶とともに福島の農産物と農家を応援して欲しいです。今が一番大変な時。牛の歩みと同じく一歩ずつ、少しずつだけれど後退することなく前に進んでいきたいです」

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