もっと知りたい郡山の農業
野菜農家 橋本咲子さん
家族の思い、みんなの力。
家族みんなでやるから出来ること
郡山市西田町の橋本咲子さんは、ご主人の照明さんと長男の照彦さんの3人で野菜を作っています。
今の時期では、ホウレンソウ・小松菜などの葉もの類とアスパラガス・カブ・キャベツ・ブロッコリーなど他にも多くの野菜を育て直売所へ出荷しています。
咲子さんは、野菜作りから出荷までの作業は一人でやったら大変なこと、家族みんなでやるから出来ることだと言います。
「ばあちゃんも出荷前の作業を手伝っています。畑から収穫してきた大量のホウレンソウの根をきれいにしてもらいます。それを束ねて出荷するんですよ」
照彦さんのお嫁さんは勤めに出ていますが、時間のある時には畑に出て作業をします。
野菜作りは、家族みんなの手と思いがあるからこそ出来ることなのです。
食べる人のことを考えて作ります
咲子さんは、震災・原発事故の後に言った10歳になる孫の言葉が忘れられないと言います。
「ポツリとこれで農業は終わりだな、って。去年の春に命を絶った県南地方の農家の方の気持ちもよくわかります」
同じ思いを抱えながら咲子さん家族は、自分たちが出来ることをコツコツと重ねながら前に進みます。
「私は3つのことを胸に置いて野菜を作っています。一つは、お客さんの立場になって値段をつけること。次に
自分たちの野菜を待っていてくれる方への感謝です。お客さんが喜んで食べるのをイメージしながら作ります。もう一つは、朝一番で売れなくても閉店まで売れればいい。うちの人がたくさん肥料を与えて育てていることや息子が朝暗いうちから畑に出ていることを思うと最後に残ったひとつの野菜まで愛おしいですね」
咲子さんはお花が大好きです。種や苗を植え、やがて花が開いた時の喜びは我が子を見る思いです。
お話を伺った日は、ちょうど母の日の翌日。窓辺には、4つのカーネーションの鉢植が寄り添うように並んでいました。