100年ふくしま。

vol.064 株式会社ケイビ 大山勇起さん

100-FUKUSHIMA Vol.065

株式会社ケイビ 大山勇起さん

新しい安全のかたち

郡山市大槻町にある株式会社ケイビは、総合警備業と防犯防災にかかわる製品の販売、輸出入を行っています。
昨年春、新型コロナウイルス対策として、郡山市内でいち早く非接触式温度測定システムの販売を始め、温度測定機を団体や組織に寄贈するなど、新聞や建設、病院の業界専門紙でも取り上げられました。
「施設や工場向けに、シンガポール製の非接触式温度測定システムを販売を始めました。その後は、さまざまな種類で、低価格で高性能なものが普及して、とても身近なものになりましたね」
株式会社ケイビ、専務取締役の大山勇起さん。以前は、産業機械を扱う専門商社で働き、ケイビ入社後はそれまでの経験を活かして商事部門を立ち上げました。
扱う製品は防犯、防災の分野に特化し、日本ではめずらしい最先端の製品もあります。
お話を伺った部屋の隅にあった、黄色のシート。その丸められたかたちは、アウトドア用品を思わせました。
あれはこんなふうに使います、と大山さんがパソコンで見せてくれたのは、逢瀬川での実験映像 でした。
「長い黄色のシートを広げるだけで設置が完了し、水が流れてくると上部のシートが大きく開きます。中がパーテーションで区切られており、ポケットになって水をせき止めるのです。集中豪雨や洪水時の浸水対策に使います。土嚢よりも軽く、設置が簡単にできるので、現在は企業へ防災用品として納品しています。将来的には一般家庭への普及を目指しており、現在は改良や価格ダウンの方法を考えているところです」
この、カナダから輸入した「WATER DAM (ウォーターダム)」は、ここ数年の集中豪雨・浸水被害の経験から、 福島県内の企業だけでなく、全国の企業や官公庁、一般のお客様からもお問いあわせがあるといいます。

3.11をきっかけに、スクラムを組んで

郡山市出身の大山さんが、再び郡山で生活を始めたのは、2年ほど前。きっかけは、3.11、東日本大震災でした。
「3.11がなければ、地元に帰ってくることはなかったと思います。もともと海外志向が強かったため、会社でも楽しく働いていました。東日本大震災があったのは、タイに駐在していた時です。だれとも電話が通じず、テレビのニュースでは、日本とは違って、ありのままの映像が流れ、もう地元には帰れないと思いました」
大山さんは、商社勤務時代の2009年から2017年までタイのバンコクに駐在していました。
BBCやCNNで日本の状況を知ったといいます。
「その後、一時帰国した際、地元の友人から福島への差別があることを聞いていました。地元が廃れていくのを感じて、 それを止めるために、手伝えることはないのか、復興のためにも何かできないかと、郡山に戻ることを具体的に考えるようになりました」
大山さんは震災後、タイ在住の福島県出身者とともに福島県人会「バンコク福島桃の会」を設立しました。
「タイは親日の国で、震災直後から政府も民間企業も日本へ義援金を送っていました。日が経つにつれ、街で募金活動を行う地元の人たちの姿をよく目にするようになり、私たちも団結して、もっとタイへ恩返しをしなくてはと思いました。県人会ができたことで、 福島の良さをあらためて感じ、地元のために自分たちは何が出来るのかを話していました」
現在は 100名以上の会員がいるバンコク福島桃の会。帰国後も、その親交は続いています。
「震災当時はドイツに駐在、その後タイの県人会で知り合った方が、最近帰国し、最後のキャリアは福島の復興のために働きたいと郡山に戻ってきました。福島に対する偏見は国内外、世界にもまだあるだろうけど、俺たちはまた一緒にスクラムを組んで地元のためにやっていこうと話しています。心強い人が戻ってきてくれたと思っています」

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大山勇起さん。駐在先の仕事や生活は、非常に充実していたと穏やかに振り返ります。
「どこの国の駐在員にとっても、外国で違う文化に触れ、そこで生活を始めるとき、最初は違いに目がいきます。
ですが、そこで生活をしていくと肌の色や国籍、宗教が違っても、変わらないものがやはりあり結局は自分と何も変わらない、というところに落ち着きます。だから仲良くなれる。違いはあれど、人の本質は変わらないのだと思います」

社会にプラスになること

大山さんは高校生の時、日本を支えることがしたいと考え、エネルギー関係の仕事、石油ビジネスに興味を持ちました。
「なにか社会に対して、自分の価値を残したいというのが強くあります。子どもの頃に交通事故に遭い、あと20センチずれていたら死んでいたというのが、強烈に心に残っていて、あの時、死ななかったのはなぜか、死ぬべきではなかったと考えた時、なにかできることが自分にはある、社会に対してプラスになることができたら、それが自分の価値になるのだろうと漠然と考えていました。それからいろんなことが重なって、今は自分がやりたいと思うことを仕事にできていると思います」
東京から海外、そして郡山での警備業。大きく異なるように思える分野で深く思ったのは、仕事は人でできているという当たり前のことだったといいます。
「安全を守る警備業では、人の働きそのものがお客様にとっての品質になります。人の品質を保つのは、すごく難しいことだと感じています。けれど、それはどんな商売でもそうかもしれません」
大山さんのこれからを尋ねると、経営理念の通りですと端的に返ってきました。
会社を存続させ続けて従業員の生活基盤を安定させること。
人々が安心して生活できる安全な社会の実現に貢献する。
そして、世界にある最先端のユニークな製品で、新しい安全のかたちを届けていくことです。

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株式会社ケイビ
https://keibi-o.com/
〒963-0201 福島県郡山市大槻町字菅田59-1
024-962-7831 (代表)

2021.03.09 取材 文:yanai 写真:BUN


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