100年ふくしま。

vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

100-FUKUSHIMA Vol.039

こまつ果樹園 小松純子さん

りんご畑で

ふかふかのりんご畑を歩いた。
なんて気持ちのいい感触。一面の下草はカサコソと心地よい音をたて靴底に跳ね返る。
目の前に広がるりんごの木、赤い実が収穫の時を待つ。
りんご畑、その小道はどこまで続くのか。ところどころに刈ったばかりの下草が低く積み上げられ、それは目を細めるほどに気持ちがよく、どこか懐かしい風景だ。
こまつ果樹園を初めて訪れたのは、夜には台風が接近する予報が出ていた9月最後の土曜日だった。
その日の午前中は、これから本当に嵐になるのかと思うほど穏やかだった。
少しでも被害が少なくてすむようにと総出で台風対策の作業をしたというりんご畑は、その思いに答えるかのようにどっしりと静まりかえり、大らかな力強さがあった。

vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

純子さんの好きな場所

小松純子さんは長い間、会社員として勤務し、結婚後も仕事を続けていた。
「会社を退職後はしばらくの間、子育てをしていましたが、5年ほど前から少しずつりんご畑に出るようになりました」
と純子さん。こまつ果樹園は、純子さんのご主人の祖父母が始められたりんご農家でその後はご両親が加わり、現在は家族みんなで携わっている。
「祖父以外の男性は他に仕事を持っていた時期もあったので、おばあちゃんやお母さんたち女性陣が頑張って来たと聞きます。女の人の思いや力ってすごい。素晴らしいことですね」
純子さんは、りんご畑が大好きだ。何よりものびのびと自然に実をつけることを優先にしている楽園のようなこまつ果樹園。りんごの声に耳を傾けながら手を入れることを大事にしている昔ながらのりんご畑だ。

vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

紅玉、ジョナゴールド、陽光、王林、フジ。
5種類のりんごを育てています。

こまつ果樹園では、りんごを中心にぶどうやかきなどの果物を作っている。
りんごの種類は、紅玉、ジョナゴールド、陽光、王林、フジの5種類で収穫の時期がそれぞれに異なる。
2度目の訪問は青空の広がる11月半ばちかく、フジの収穫真っ盛りの時だった。
9月中旬頃から始まったりんごの収穫はこのフジが最後で、11月いっぱい続く。
りんご畑の中で、採りたてのりんごをいただいた。
純子さんは、りんごを真ん中から切り、さくりさくりと薄い輪切りにしていく。
現れたのは放射状に広がる種と蜜の模様。なんて美しい。手に取り思わず空にかざす。
口にふくむと香りが広がる。これがこまつ果樹園のフジ。みずみずしくて甘酸っぱい美味しいりんごだ。
「もちろん、ふつうに切って食べるのもいいですが、こうして輪切りにするとまた違う美味しさがありますね。皮も気にならないし種まで食べてしまえるのもいい。形も可愛らしく食べやすく、自然に笑顔になるのがうれしいですね」

vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん
vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

りんごをムダにしたくない

純子さんは、りんごを使ってオリジナルの加工品を開発し、販売している。
「畑にたくさんのりんごが落ちているのを見た時に、ああもったいない、ムダにしたくない、と思ったのがきっかけでした」
この美味しいりんごをなんとか活かしたいという思いが原点にある。
ある時、りんごのドライフルーツの美味しさに出合った。それは、義弟が取引先の方からいただいた作りたてのドライフルーツ。心を動かされた純子さんはその後、加工会社の社長さんに教えてもらいながら試作を重ねる日々。やがて時を経てオリジナルの商品を完成させた。
無添加で加工したドライフルーツは自然のおやつそのもの。カットの仕方、乾燥の仕方でそれぞれの食感を楽しめるようにした。
可愛らしい輪切りのりんごが素敵にパッケージされた姿からは、仕事の丁寧さが伝わってくるようだ。
ドライフルーツの他にりんごジャムやりんごジュースも販売している。
寒い季節には、りんごジュースを温めて飲むと身体がぽかぽかしますよと教えてくれた。

vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

お客さまの声に支えられて。
やっとスタートラインに立つ思い。

こまつ果樹園では、一年を通してそれぞれの季節でイベントを開いている。
りんご畑の散策や収穫体験、りんごを使ったおやつ作りなど子どもたちも一緒に楽しめることをコンセプトに趣向をこらす。
「春はりんごの花が咲き、秋は紅葉が美しい。見渡す景色は楽園そのものです。出来るならばここでずっと過ごしたい、一年を通してそう思える場所だと思います」
近郊の町のさまざまな催しにも積極的に参加し出店する。
馴染みのお客さまも増え、多くの人たちにりんごの美味しさ、自然の素晴らしさを伝えられることがうれしいと話す純子さん。
「あるお客さまが、妊娠中にりんごのドライフルーツしか食べられない時期があったことを話してくれました。自分が作ったものが人の役に立っていたことを知り、ありがたく身の引き締まる思いでした」
ここ数年を振り返ればまだ道の途中、やっとスタートラインに立つ思いだと話す。今後どう進んでいこうか、どのように展開していこうか。お客さまの声は純子さんを励まし、原点に立ち返らせる。

vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん
vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

オリジナルのアップルパイもぜひどうぞ

こまつ果樹園で出しているお菓子にアップルパイがあります。
純子さんのお義姉さんと一緒に作る見るからに美味しそうなオリジナルアップルパイはやさしい甘さで、小さいお子さんや年配の方のおやつにもぴったりです。もちろんいつも忙しいママさんへのご褒美にも。イベントに出品するとたちまち売り切れる人気のお菓子です。

「会社員として組織の中で働くのは大変でしたが、仕事を通して専門性を身に付け、やりがいもありました。むしろ、やりがいを見つけることの大切さを感じながら生きてきたように思います」
20代30代で培ってきた思いを無駄にしたくはない。この場所で自分の能力を少しでも発揮できたらと商品開発やイベントの企画を考え、身をもって仕事を形にしていく純子さんは、ガンバリ屋さんです。
そんな純子さんが自分のために作るのは「食べ残したりんごで作る焼きりんご」。フライパンでジュージュー焼いただけで飴色の焼きりんごができあがりますと教えてくださいました。
「飴色の焼きりんご」おいしそうですね。

vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

– – –
こまつ果樹園
〒962-0812 須賀川市浜尾字舘125
0248-61-9786
不定休
あり

2018.11.13取材
文:kame 撮影:BUN


2 thoughts on “vol.039 こまつ果樹園 小松純子さん

  • 小松さん、今年も美味しいりんご🍎ありがとうございました!私もりんごが、大好きです^ ^。
    投稿拝見し、次回の注文が楽しみになりました!
    加工品も色々あって、機会あれば、果樹園も行ってみたいです!

    • 吉長さま
      ぜひ、ふかふかの果樹園に行ってみてくださいね。りんごの輪切りドライフルーツもおいしいですよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です