100年ふくしま。

vol.022 石川屋 石井修一さん

2017/11/21

vol.022 石川屋 石井修一さん

100-FUKUSHIMA Vol.022

石川屋 石井修一さん

絵本は子どもが一番初めに出合う本

田村市常葉町にある「石川屋」は、代々に渡り本・薬・化粧品を扱っている。
店主の石井修一さんが、店を改装し絵本屋さんをオープンしたのは、2016年1月のこと。止めるのは簡単だけれど本という文化をこの町から無くしたくはなかったと話す。
続けていくのにはどうしたらいいか。
石井さんは、子どもが一番初めに出合う本、絵本に思いを寄せる。

vol.022 石川屋 石井修一さん

自分がいいなと思う本、心がときめく本を

店内の壁一面、天井まで届く本棚に目を見張る。
迎えてくれるのはたくさんの絵本とその表紙。どれもが輝いて生き生きとしている。
「自分がいいなと思う本、心がときめく本を置いています。みなさんが手に取って喜んでもらえるのがなによりもうれしいです」
絵本は、子どもだけでなく大人も楽しめるもの。何歳になっても心躍る存在だ。
母親が子どもに選ぶ本は、自身が親に読んでもらったものも多い。
日本のもの外国のもの、昔から読み継がれている絵本はたくさんある。
「絵本は息が長いものなのですね。ページをめくるたびに伝わる言葉や絵の世界観、その色使いから子どもたちの想像する力が芽生えていくのだと思います」

vol.022 石川屋 石井修一さん

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18歳の出会い、自分を変えた人

「曾祖父の代から薬を扱い、祖父は薬と本の他に金物も置いていました。私が小学生の頃には祖母が車で薬と本の行商をしていて、よく連れていかれました」
小さい頃はあまり活発な子ではなかったという石井さん。
中・高生時代は無気力で集中力がない。スポーツをやるわけでもない。ボーッとしているのが好きでしたと笑う。
「18歳の時、いわき市の短期大学へ進学しました。アルバイト先で一人の先輩と出会い自分が変わっていきました」
回りの人を楽しくさせるような人柄に惹かれた。いつも行動を共にし、自分も先輩のようでありたいと思った。
一人の時はよく海を見に行った。何をするわけでもなくボーッと海を見ていた。
夏などは気がつくと真っ黒になるほどだった。

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やさしさは強さ

「3.11の震災があった日は、中学校へ教科書の納品に出向いていました。体育館でひととおり積み上げてひと息ついた時にグラリときました。とっさに崩れた教科書を直そうとする自分がいました」
その光景はスローモーションのように記憶されているといいます。
自分は被災者だとは思っていないと石井さん。
「震災を機に人との繋がりも多くなりました。復興ということではなく新しいことへの挑戦なのだととらえています。これはいつのどんな時代でも大切なこと。同じ思いを抱えた人たちと少しずつですが着実に進んでいることはありがたいことです」
人との関わりの中で大切にしているのは、深入りしない思いやり。そして年を重ねるごとに実感するのは、やさしさは強さなのだということ。
やさしさは強さ。
なんていい言葉だろう。

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石井さんの好きな絵本「満月をまって」

「満月をまって」のあらすじです。
今から100年以上前、コロンビア郡の山奥に暮らす少年たち家族の話です。
少年の父親は木でカゴを作る職人で、満月をまって月のあかりを頼りに山を下りハドソンの町までカゴを売りに行きます。山合いに住むのは、少年たち家族とビッグジョー、クーンズさんだけ。少年は8歳で父親たちのやること、山の様子をよく見て育ちました。
少年は父親と一緒に町にカゴを売りに行きたいと思うようになります。
9歳になり、父親は少年に一緒に行く事を許し二人は満月の夜に山を下ります。
少年は町のにぎやかさにわくわくしますが、広場で屈辱的な体験をします。
「おんぼろカゴ、くそったれカゴ」
父親に向かって男たちが笑いながらはやし立てたのです。
それは山奥に暮らしている少年たちを馬鹿にする言葉でした。
少年はもう父親のカゴを作る姿を見たくありませんでした。
町になんか二度と行くものかと思いました。
そんな少年にある日、ビッグジョーが言います。

風から学んだ言葉を音にして歌いあげる人がいる。
詩をつくる人もいる。
風はおれたちにカゴをつくること教えてくれたんだ。
風は見ている。
だれが信用できるか、ちゃんと知っているんだ。
(メアリー・リン・レイ 文,バーバラ・クーニー 絵,掛川恭子訳『満月をまって』あすなろ書房,2000年)

それを聞いた少年は町の人たちのことはどうでもよくなりました。
ビックジョーや父親のようになりたい、風が選んでくれた人になりたいと思いました。

メアリー・リン・レイ 作
バーバラ・クーニー 絵
掛川恭子 訳
「満月をまって」

石井さんが大好きな絵本です。

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石川屋
〒963-4602 福島県田村市常葉町常葉字中町36
0247-77-2001
8:30〜19:30
日曜日
あり

2017.10.25取材
文:kame 撮影:watanabe

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