もっと知りたい郡山の農業
酪農業 一ノ瀬正幸さん
365日休み無し。目標があればこそ。
生乳の量と質でトップを目指して30年
郡山市磐梯熱海町石筵地区の一ノ瀬正幸さんは奥さまと二人で酪農を営んでいます。
一ノ瀬さんは、高校を卒業した後10年間、県の畜産公社で働きその後、酪農を営んでいた父親の跡継ぎとして一緒に仕事を始めます。
当初は三分の一だった牛の数は、現在、子牛を含めて60頭。結婚をし家族が増えたのに伴い頑張って規模を大きくしてきたといいます。
「跡を継ぐと決めたからには、一頭あたりの量と質でトップを目指し、この30年間いろんな面で努力してきました。365日休み無しでやっていくには、目標がなくてはできない。自分なりにプライドを持っています」
元気を出して前にすすむ
「良質の生乳を生産するには、いい乳牛に改良し能力をうまく引き出してやること。うちの牛たちは繁殖から子育てまでここで生まれ育った100%後継牛です」
手塩にかけて育てた牛たちから、良質の濃い生乳が生産されていきます。
「原発事故後、40日間は搾乳しては廃棄を繰り返しやりきれない思いでしたが、捨てることに抵抗があったのは10日間ぐらいかな。悩んでいてもしかたがない。意欲が落ちると不安になるだけ。前にすすめない。元気がないとやれないことですから」
今、広大な牧場は牧草を枯らしてある状態。9月始めの牧草の種まきに向け、県からのゴーサインが出るのを待ち本格的な除染作業に入ります。
「この仕事を現役でやっている以上、体力や気力を維持することが大切です。自分の体調が牛の管理に直接影響し乳質にも響いていく。ちゃんとできなくなったらやめることを考えなくてはいけないかな」
自分の生乳の品質悪化は他の生産者たちの足を引っ張ることになるといいます。
今、トップクラスの品質を保っている一ノ瀬さんならではの思いです。