100年ふくしま。

vol.068 (株)フナダスタジオ 舟田憲一さん

100-FUKUSHIMA vol.068

(株)フナダスタジオ 舟田憲一さん

これからが、めちゃくちゃ楽しみ

郡山市にある(株)フナダスタジオは、広告用の写真や動画の撮影をメインに、県内でいち早くドローン撮影を導入したスタジオです。
環境省からの依頼で中間貯蔵施設の動画撮影を行ったことでも知られ、写真撮影で培ってきた技術を動画の撮影にも生かして取り組んでいます。
「これからが、めちゃくちゃ楽しみです」
フナダスタジオ、代表の舟田憲一さん。
フィルムカメラからデジタルカメラへ、ドローンを導入して動画撮影へ。その大きな環境の変化を遂げてきた撮影の仕事について尋ねたとき、その意欲的な姿勢に思わず声を上げてしまった。

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デジタルカメラが一般に普及し始めたのは2000年代のこと。
舟田さんは2001年にフナダスタジオを設立し、翌年にデジタル一眼レフカメラを導入しました。
「当時、デジタルカメラが普及したら、カメラマンの仕事はなくなるなどと言われていましたが、逆でしたね。むしろデジタル化によって、撮影の仕事が見直された感じがありました。それまでカメラを使えなかった人が、デジカメを使えば写真が撮れるかというと、そうではなく、構図やライティングが理解できないため、やはりプロに頼むしかないという流れがありました」
世の中のデジタル化が進んでいくことに、舟田さんは、もともと自分にはデジタルが向いていたといいます。
「中学生の頃にパソコンを使って、本を見ながら打ち込むだけのプログラミングを夢中でやっていました。そういうのが好きだったんです」
デジタル化により、撮影から納品まで分業していた工程がひとりで行えるようになり、写真が自分のものになった感覚があるといいます。
「デジタル化に関わらず、撮影の仕事には2年ごとに機材の買換え、ソフトの入替えがあります。一度の撮影にも複数台のカメラが必要だったり、動画の撮影には機材も人手も要ります。これまでも常に新しいものを取り入れるようにしてきたことで、流れにのることができ、さまざまな分野のお話をいただくようになりました」
舟田さんは、この仕事は道具の使い方次第で多くの表現が生まれるといいます。
「ドローンもただ飛ばせばいいだけじゃなく、動画ならどう撮るのか。対象からゆっくり引いていくのか、横に動かしながら左に振りつつ、カメラの向きを上げるなど、3軸、4軸の動きを計算しながら、撮影していきます。時間や天候の制約もある中でのドローン撮影には、その動かし方の情報と知識が必要です」

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なにをやっても大変で、なにをやっても楽しい

三春町出身の舟田さんは、高校生の時、お祖父様が写真をやっていたことを思い出し、自分でも身近なものを撮影してみたところ、見事にはまったといいます。
「私が子どもの頃、墓石屋だった祖父の家では、墓石に名前を彫るのには、習字で描いたものを写真に撮って、墓石のサイズにプリントで引き延ばし、それを型になるゴム版に貼り付けてカットし、石にカットされたゴム版を置いて彫っていました。祖父も写真を撮っていたので、いいカメラと引き伸ばし機を持っていました。その環境が影響していたかなと思っています。高校の写真部の暗室で、ふわっと浮かび上がるフィルムの現像にはまりました」
高校卒業後は東京のホテルへ入社。当時、60名程が在籍していたホテルの写真部で、フィルムの準備、撮影、現像、ネガの修正、プリント、レタッチ、台紙入れ、納品までの写真の基礎を学びました。
「20歳の時、同じ写真部で8歳上の先輩はサブのカメラマンをしていました。そのことから自分のこの先を考えた時、メインで撮影を行うまでの道のりはとても長く感じられました」

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068フナダスタジオ_05 撮影の様子
撮影の様子/右からウィンタースポーツの撮影、商品撮影、クリーンルーム内の撮影、モデル撮影

その後、福島に戻り、広告用写真の撮影を行うスタジオでアシスタントとして働き始めました。
「スタジオの代表と兄弟子が撮影を行い、いつもそのどちらかについて働いていました。そこでは毎日違う仕事があり、睡眠が3時間の日々でも楽しかったです。両親には、そんな不規則な仕事は体に良くないから辞めろと言われていましたが、なんでこんな楽しいことをやめなければならないのかと思っていました」
そして兄弟子の独立を機に、舟田さんもその手伝いをし、下積み時代を経て28歳の時に自身のスタジオを設立しました。設立後は、常に最先端を意識し、現在スタジオには用途に合わせたカメラはもちろん、さまざまなサイズと機能をもつドローンを揃えています。
「それまでも航空写真の撮影は行っていましたが、もっと違うかたちで上空からの様子を撮影できないかと1mくらいのラジコンにカメラを積めるようにして公園で飛ばしていました。なかなか安定せず、その日撮影に付き合ってくれた友人から、プロペラが4つついて安定した飛行ができるものがあるらしいと教えてもらい、その時にドローンというものを知りました」
舟田さんは早速インターネットでドローンを取り寄せ、日本語の説明書がなかったため、仕事を終えたあと夜な夜なYouTubeを見ながら半田付けで組み立てや改造を行いました。
初めてドローンを飛ばしたときは「すげー」の一言だったといいます。
「ドローンを扱うようになってからは、さまざまな免許の取得が必要になりました。ドローンから映像を飛ばすために、陸上特殊無線とモールス信号も学びました。仕事ではもちろん、休日にも友人達と借りている畑でドローンを飛ばしてYouTube用に撮影をしたり、小さなボートで釣りをするときには、水中の様子を撮影してみたり。趣味を楽しみながらも、仕事を依頼してくれるお客様に役立つことを常に意識しています」
お話を伺ったこの日、スタジオのデスクには、小型船舶免許のテキストがありました。
今、いわき市で撮影しているのは、漁を行う海域です。舟田さんが水中の撮影を行っていた時に、自分が漁をする海中の様子を知りたいという漁師の方と知り合い、漁にでる際に同行して撮影を行っています。その漁で採れる魚やたこが、すごく新鮮でおいしいのだと教えてくれました。

舟田さんのモットーは、「めんどくさいことを楽しむこと」。
「普段の生活でも、仕事でも、なにをやっても面倒なことや大変なことばかりですが、楽しんでやってしまえば何でも苦にならなくなるものだと思っています」

068フナダスタジオ_06 釣り
068フナダスタジオ_07 農作業
趣味の海釣りと友人たちと借りている畑での農作業の様子

福島の新しい見え方、
魅力的なビジュアルで、もっと地元を大事に思う

「もうすでに人がやっていることでも、さらにそこを深く知りたいと思っています」
湖、海、山もある地元が好きだと話す舟田さんが、これからやってみたいのは、ドローンによるものではなく、自分自身が水中に潜ること、そして空を飛ぶこと。
「猪苗代湖や浜の方の観光化にも興味があります。自然が多い福島の新しい見え方がもっとあるはず。それを魅力的なビジュアルで見せることができたら、まだまだ地元にはこんな風景があったのかと、ここに暮らす方にも、その風景がある福島を大事に思ってもらえるのではないかと思います。それを自分も楽しんで見てみたいです」
「めちゃくちゃ楽しみ」なことが、福島に暮らす人にも続いていきます。

068フナダスタジオ_08

ここからは、舟田さんの撮影写真をご紹介します。

FUNADA PHOTO

FUNADA-PHOTO 2017年ふくやま夢花火
「このシーンはもう二度と撮れない」という、2017年のふくやま夢花火 / 会場から離れた遠景からドローンでの空撮
一般的に、花火の写真を撮影するには長時間露光という技術が必要で、この時も4秒間という露光時間が必要だったため、
いかに機体をぶらさずに撮影するかという技術が求められました。
FUNADA PHOTO 磐梯山と猪苗代湖
磐梯山と猪苗代湖/ドローンでの空撮
FUNADA PHOTO 檜原湖
檜原湖 / ドローンでの空撮
FUNADA STUDIO 水中ドローン
水中ドローンでの撮影

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株式会社フナダスタジオ
https://funadastudio.com
〒963-8071 福島県郡山市富久山町久保田字久保田59
TEL 090-9638-1045

2021.09.01 取材
文:yanai 写真:BUN 提供:フナダスタジオ


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