100年ふくしま。

vol.069 Active Resorts 裏磐梯 皆川大樹さん

ActiveResortsURABANDAI 皆川大樹さん

100-FUKUSHIMA vol.069

Active Resorts 裏磐梯 皆川大樹さん

裏磐梯の自然の中で

10月下旬、朝9時半の秋が深まる福島県北塩原村。
ホテルのロビーでは、身支度を整えたハイカーたちが地図を広げていました。
「晴れた日ももちろんよいですが、今日のような雨に濡れた時もまた紅葉が深くなりますね」
アクティブリゾーツ裏磐梯、営業部長の皆川大樹さん。
裏磐梯地区の観光施設とともに、SGDsと教育旅行、ワーケーションを組見合わせた観光地づくりに力を注いでいます。

ActiveResorts裏磐梯 ワーケーションルーム

お話を伺ったのは、現在改装中のかつてバーがあった部屋。
大きくあたたかな照明、窓辺には杉板のカウンター席。
ゆったりとした各スペースには、電源コンセントとUSBポートがあります。
「ホテルでお仕事をされる方にも、ゆったりと過ごせるよう、お一人の席を大きくとっています。大きな窓から裏磐梯の景色を眺め、森の中で気持ちよく過ごしていただきたいと思います」
皆川さんが今挑戦しているのは、「プロギング」。自然の中をジョギングしながらゴミ拾いを行うというもの。参加者への協力のお礼には、地元で使える商品券をお渡ししています。
「心身ともに幸せになるワーケーションの考えのもと、裏磐梯の森の中でリラックスしながら過ごし、参加される方に気持ちよかったと思って頂けるのが一番。ワーケーションは、自然のあるところに出張するという考え方だと思います。地元の活動に参加したり、地域の人と出会って話をしたり、楽しみがあることで、なにかヒントを持ち帰る。それが将来の暮らしやご自身の活性化につながるのだと思います」 

ActiveResorts裏磐梯 皆川さん
ActiveResorts裏磐梯 ラウンジ

価値や面白さを見つけていく

「一般的に都市部のホテルの集客は、ハードと立地にかかっていますが、リゾートホテルは異なります。待っていればお客様がいらっしゃるという性格ではないこと、さらに、オンシーズン、ハイシーズン、オフシーズンがあり、どのシーズンでも常に集客のための営業が必要です。それをやらなければ衰退していくし、現状維持は後退だと思いながら、僕はいつもこの場所で、常に何かを模索して新しいことをやり続けてきました」
皆川さんは、30年近く、ホテルの仕事に携わっています。そのきっかけとなったのは、中学三年生の時でした。
「小学生の時から新聞配達をしており、中学三年の時に母親に勧められ、このホテルのパートナー会社であった清掃会社で客室清掃のアルバイトを始めました。その後、高校から大学卒業までの9年ほど、ベッドメイク、食器洗浄、大浴場の清掃、布団敷きなどをやっていました」
大学時代には、東京でベルボーイのアルバイトを経験。卒業後は県内のホテルに就職、退社後、再びこのホテルで清掃の仕事を始めました。
「ホテルのスタッフと顔馴染みだったこともあり、フロントの仕事に声がかかりました。その後、パートから社員になり、今に至ります。僕の原点は清掃なんです」
入社後は、フロント、ブライダル、予約業務、営業と様々な業務で培ってきた全ての経験が役立っていると話します。
フロントには9年従事し、人事異動でブライダルを兼務することになりましたが、ブライダルの世界は全く知らなかったといいます。
「異動した翌日に新規のお客様がお見えになりました。ベテランの先輩はおらず、とにかく分かることを一生懸命話したところそれが決まってしまいました。そこからコツをつかみ始め、数字を残せるようになっていきました」
その後、ブライダル総研が主催する「GOOD WEDDING AWARD」の特別発表で、自身が携わったプラニングをスピーチする機会があったことで、メディア媒体に取り上げられ、ホテルに婚礼のご予約が入るようになりました。
「今の営業の企画には、ウェディングプランナー時代に心掛けていた、新郎新婦様の思いをかたちにするという姿勢が役立っていると思っています」
達成感は、その仕事だからあるのでなく、どんな仕事でも得られるものだといいます。
「昔から、なんとなくホテルというものに惹かれていたのだと思います。どの仕事をしていても達成感があり、いつも没頭していました。どんなことでも、価値や面白さを自分で見つけていくと、一見大変そうな仕事でもつらさがなくなり、チームで、チェックインまでに仕上げるという使命感が面白かったですね」

ActiveResort裏磐梯 愛用品01/02
写真右 皆川さんの愛用品01:ぶどうのツルで編んだ書類バッグ/愛用品02:コルクでできたエプロン。
バッグはパソコンを2台持ち歩くため、持ち手の強度を上げるためにカスタマイズ。
エプロンはSDGsプログラムのインストラクターの時の制服に。コルクから布地をつくるには長い時間を要します。

SDGs

「『SDGs』をこれからのトレンドとして意識し始め、その市場規模を調べたところ、他の産業に比べ桁違いの大きさであることがわかりました。ですから今後、参加する産業も多くあるはずで、流れは絶対に来るだろうという自信がありました」
皆川さんが、「SDGs」という言葉を知ったのは、今から約3年半前。ホテルに届く新聞で目にしたことでした。
「2年前に、裏磐梯グランデコ東急ホテルで開講していた、自然を学ぶ『富良野自然塾』に、私たちのホテルで行っていた、ロハスの食育環境プラグラムを『SDGs』の要素として組み合わせ、二社協同で販売を始めたことが、『SDGs』の活動を始めるきっかけでした」
裏磐梯グランデコ東急ホテルとの協同は、皆川さんが初めて営業の仕事に就いた時に、営業の仕事やホテルの集客に力を貸してくれるなど、とてもお世話になった関係があり実現しました。
協同で動き始めたプログラムでしたが、当時は「SDGs」という言葉自体も一般的に知られておらず、営業先で話を聞いてもらうことも難しかったと振り返ります。
「SDGsのマークを入れたチラシを持って、あちこち周りましたが『なに、これ』と言われるばかりで、始めて2年くらいは、グランデコの担当の方と二人で観客のいない路上ライブをしているような気分でした」
風向きが変わったのは、10年ごとに刷新される新学指導要領に、次に改訂される2020年に向けて、「SDGs社会に対応できる人材を育成しましょう」という内容が提示されたことでした。
「当時は売れなかったけれど、やり続けていれば、修学旅行でも絶対に必要なプログラムになるという自信を持つことができました」
やがて、2020年に改訂された新学指導要領。2021年度で「SDGs」という言葉や取り組みが周知されるようになり、二社協同の活動への需要が飛躍的に伸びることになりました。
「今までは、企業が儲かったお金を社会貢献に使うというかたちでしたが、これからは、社会貢献をして収益を上げていくのがビジネスモデルになっていくのだと思っています。これは企業として使命でもあり、自分もそこに価値や商品を見出していかなければならないなと思っています。そのためには、環境問題という社会的価値を経済活動として成り立たせ、納税して地域を支えていくことが大事だと思います」

ActiveResort裏磐梯 愛用品03
愛用品03:SDGsのバッジは、地元の中学生が手作りしたもの。軽く、素朴だけれど、とても愛らしい。

創業者精神の「なにが世の中に役に立つのか」を考える

これから、世の中でどんなことが必要になってくるのか、それに対して自分達はどうやって行動に起こしていくのか、そんな話をするときの皆川さんはいつも嬉々とした表情です。
「いつも楽しくやっている、という根底には、大和ハウスグループの創業者精神があると思います。この会社には、大和ハウスグループ愛がとても強い人が多くいます。仲間意識があり、やりたいということには基本的にやさせてもらえます。失敗があっても次に活かすことを約束することが大切で、なにもやらないことの方が問題だったりします。ずっと変わらずこの会社が大好きで、本当に好きでやらせてもらっている、そんな感じです」
アクティブリゾーツ裏磐梯は、大和ハウスグループのリゾートホテルのひとつです。
大和ハウスの創業者は、プレハブ住宅の建設でスタートしました。そのため仮設住宅は今でも得意分野として知られています。リゾート法が制定される10年前からリゾート事業が必ずくると、創業者自らリゾートホテルの事業が始められました。
「なにが儲かるか、ではなく、なにが世の中に役に立つのかを考えなさいというのが創業者精神です。その考えのもとで、SDGsは、それが世の中の望みであり、社会に役に立つことなので、商品化して収益化するというビジネスモデルが成り立つのです」

ActiveResorts裏磐梯 紅葉
猪苗代町出身で勤労学生だった皆川大樹さん。
「小学生の頃は新聞配達をやっていました。町の200軒を担当し、冬はそりに新聞を載せて運んでいました」

ホテルマンの三箇条

気を利かせる、速みやかに行動する、段取りをしっかりする。
これが、皆川さんがホテルマンとしてスタッフに伝える三箇条です。
「僕の理想のホテルマンは、例えば、今僕が着ているスーツ姿で別のホテルに行った時、『トイレはどこですか』とお客様に尋ねられること、それが、ホテルマンの本質だと思っています」
どこのホテルに行っても、ホテルマンに見えること。
実際に、皆川さんが仕事で訪ねた先のホテルで、お客様から声を掛けられることがあるといいます。
「基本的にホテルマンの行動には、だれかを思う気持ちがないとだめだと思っています。お水をくださいと言われ、その方が明らかにお薬を持っているなら、聞くまでもなく白湯をださなければいけないと思っています。状況に応じて、Wantsを見抜く観察力がないといけません。その行動を目にする周りの方にも、それが気分の良い、心が豊かになる行動でもあるのです。仕事をしているとき、していないときの気持ちのオンとオフを使い分けることはありません。いつもやさしい気持ちであるなら、相手を思い、自然と行動に移し、みんなが気持ちよくなることが大事なことです」

ActiveResorts裏磐梯

自分の経験は、みんなが幸せになることへ

「この数年、SDGsに関しては失敗もありました。そして、なぜ失敗したのか、求められることはどこにあったのかなど、やってきた分だけ、わかってきたこともありました。今度は、自分を頼って来てくださる方に、これまでの経験を包み隠さずアウトプットしていこうを思っています。違うエリアでも成功していくなら、それでその輪が広がっていくのがいいと思っています。必要とされれば、自分が出向いて話をし、それでみんながよくなっていくのがいいです」
自分に関わるひとが、みんな幸せになってほしいというのが、皆川さんの基本です。
「となりの人が、笑顔になるようなことをしていたいと思っています」

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Active Resorts 裏磐梯
https://www.daiwaresort.jp/urabandai/
〒969-2701
福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字剣ケ峯1093-309
TEL 0241-32-3111

2021.10.26 取材
文:yanai 写真:BUN


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