100年ふくしま。

vol.035 郡山市の生産者との出会い

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100-FUKUSHIMA Vol.035

郡山市の生産者との出会い

はじめに

8月28日29日の2日間、郡山市主催のツアーに参加してきました。
ツアーの目的は、郡山の農産物の魅力を知り、みんなで情報発信をしようというものです。
プログラムは、生産現場の見学と生産者のお話し、そして収穫体験や試食という内容で構成され、参加メンバーの多くは、首都圏からの方でしたが、地元「100年ふくしま。」にとっても、郡山の生産者の方から直接お話しを聞くことができ、大変有意義な体験をさせていただきました。
特に、生産者の皆様の高い志からは、感動と勇気をいただきました。ありがとうございます。


【 郡山市の生産者との出会い01 遠藤昭夫さん 】

遠藤昭夫さん

目指すは、頂点の米

150年前の地図に「不毛」と記されていた郡山の大地に、いま稲穂が実っています。
「ASAKAMAI887」は、現在流通しているブランド米の中で頂点に立つ米をつくるためのプロジェクトとして始動しました。
プロジェクトが、頂点を目指すために設けたのは、日本一厳しい7つの基準です。
食味値88点以上、タンパク質含有量6.1%以下、ふるい目2.0mm、整粒歩合80%以上、特別栽培米、農業生産工程管理(GAP)への取り組み、エコファーマーの認定者。
この基準がいかに厳しいかは、「昨年のテスト栽培では、まったく出来なかった」という遠藤昭夫さんの言葉が物語っています。
遠藤さんは、全国の品評会でも常に上位にランクインしている、いわば郡山にとって米づくりのエース的な農業人です。しかし、その遠藤さんでも容易にクリアーすることができないのが、「ASAKAMAI887」の基準なのです。
「ASAKAMAI887」には、プレミアム米をつくるだけではなく、もうひとつ大切な使命があります。それは、郡山の米「あさか舞」のイメージを回復させることです。
東日本大震災以後、多くの「あさか舞」が、一般小売から、業務用として取引されるようになり、価格の低下は、いまも郡山の米農家を苦しめています。
そのため、「ASAKAMAI887」は「あさか舞」と同じ品種のコシヒカリで挑まなければなりません。
競合するブランド米の中には、独自品種のものもありますが、「ASAKAMAI887」は、どこでも栽培され、誰でも知っているコシヒカリで勝負します。
「今年、獲れたら東京で試食会などのイベントをやりますから」という、市の関係者に、遠藤さんは「今年も、出来るかどうかは分からない」と、返しました。
悲観も楽観もない遠藤さんの言葉に謙虚な自信を感じることができました。

水路
安積疏水から流れ込む水路

【 郡山市の生産者との出会い02 鈴木農場】

鈴木農場

歴史を始める

郡山には、この地を象徴する野菜がない。「だったら自分たちで創ればいい」
2012年、「郡山ブランド野菜協議会」は、こうして立ち上がりました。
現在、協議会のメンバーは30数名、厳選した13種類の野菜を渾身の力でつくっています。
今回の収穫体験と「青空ランチ」は、そんなメンバーのひとりである鈴木光一さんの畑で行われました。鈴木さんは、鈴木農場と直売所や種苗店の経営者でもあり、メンバーの中心的な役割を担っている人です。
「ふつう、農家は面倒くさいので、こういうことは、あまりやりたがらないのですよ」と鈴木さんは、照れながら私たちに語り、嬉しそうに収穫の指導をしてくれました。
収穫したのは、郡山のブランド野菜「グリーンスウィート(枝豆)」と「とうみぎ丸(トウモロコシ)」です。「とうみぎ丸」は、その場で皮をむいてかじり、皆で「甘い、甘い」といいながら食べました。
「青空ランチ」のテーブルには、「郡山ブランド野菜」を使った料理が並べられていました。料理をしていただいたのは、郡山市内に「ラ・ギアンダ」というイタリアンレストランを構えるオーナーシェフの加藤智樹さんで、調理には、孫の手トラベルの「フードカート」が使われました。
食事は、鈴木さんがホップの実を手でたたいてビールを入れるというパフォーマンスで始まり、小雨交じり空模様の下、参加者は、晴れ晴れとした気持ちで「郡山ブランド野菜」をいただきました。

鈴木農場02
左:鈴木光一さん 右:ビールの泡とホップの実
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左:野菜の気持ちを感じるツアーメンバー 右:苗を選ぶお客さん

【 郡山市の生産者との出会い03 橋本農園 】

橋本農園

いよいよ郡山のワインが生まれる

「ふくしま逢瀬ワイナリー」では、今秋から初めて郡山産ぶどうを使ったワインの醸造を始めます。このワイナリーは、東日本大震災と原発事故からの復興支援として、2015年に三菱商事復興支援財団が建設し、いままでは、リキュールやシードルを製造していましたが、いよいよ待ちに待った本格ワインの製造です。
ワインづくりには、地元、郡山のぶどう農家のぶどうが使用され、橋本寿一さんはこの日のために、3年前からワイン用のぶどうづくりに取り組んできました。
橋本さんは、郡山で唯一ぶどう狩りができるぶどう園「橋本農園」を経営し、郡山のぶどうを語る上で外すことが出来ない人です。
2011年、橋本さんのぶどう園は、原発事故の影響を受け、シーズン中に2人しかお客様がこないという状態になったことがあります。それでも橋本さんは、福島県独自の品種「あずましずく」に期待を込め、不屈の精神でぶどうづくりを続けていました。
そうした橋本さんの思いが通じたのか、郡山にワイナリーをつくるという構想が持ち上がり、橋本さんへも参加の誘いがあり、参加することを決めました。
次の世代に引き継ぐために出来ることをしていきたいという、橋本さんの希望と哲学がこの秋、またひとつ実りを迎えます。

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左:橋本寿一さん 右:橋本さんとワイナリー関係者、市担当職員

【 郡山市の生産者との出会い04 熊田水産 】

熊田水産

日本一の鯉

郡山市の鯉生産量は市町村別で日本一です。
もともと、郡山は農業用水に乏しい地域であったため、その対策として多くのため池がありました。しかし、明治時代に入り安積疏水が整備されると、ため池は農業の目的に漁業の役割も加わり、鯉の養殖池として使われることになりました。
当時、郡山や周辺地域では、養蚕が盛んに行われており、郡山の養鯉は栄養豊富な蚕を餌として生産量を伸ばし、品質の評価を高めていきました。
今回訪問させていただいた株式会社熊田水産は、鯉出荷高日本一を誇り、「磐梯鯉」の名前でも知られる業界最大手の養鯉会社です。
ここの鯉は、上の写真のような、景勝地と見間違う美しい池で育てられています。
「鯉は、臭みがあると思っている方も多いと思いますが、うちの鯉は、臭みがないので試食してください」そう言って、熊田水産の専務、熊田純道さんが振る舞ってくれたのは、鯉のあらいでした。
熊田さんおすすめの食べ方は、酢味噌ではなく、わさび醤油です。確かに臭みは一切なく、甘みと弾力のバランスが取れた鯉の美味しさを味わうことができました。
以前は、学校給食にも出されていた鯉をもっと郡山市内で食べてもらうために、郡山市は、鯉係をつくって普及活動に務めています。
鯉は、好き嫌いが分かれる食べ物ですが、食わず嫌いで食べないのは、もったいない食べ物ナンバーワンだと思います。

熊田水産01
左:熊田純道さん 右:出荷の様子
熊田水産02
左:鯉のあらい 右:甘露煮の調理風景

【 郡山市の生産者との出会い05 鈴木農園 】

鈴木農園

自分の家のなめこを食べていなかった

「うちのなめこってこんなに旨いんだ」
それは、鈴木さんが東京のお店で鈴木農園のジャンボなめこの天ぷらを食べたときのことです。
ほとんど自分の家のなめこを食べなかった鈴木清美さんは、衝撃を受けました。
有限会社鈴木農園は、お父様がヒラタケ栽培から始めた「ジャンボなめこ」という商品が全国的に有名な農園です。
鈴木さんは、家業を継ぐ決心をして、鈴木農園に戻りました。
そんな鈴木さんが働き始めて、まず思ったのは、仕事を覚える事の難しさでした。それは、農業という業種特有の難しさではなく、鈴木農園には、仕事を覚えやすくする仕組みづくりが出来ていなかったからでした。
現在、鈴木農園では、約70名のスタッフが働いており、地域雇用の受け皿ともなっています。鈴木農園で働き出してから3年後に鈴木さんは、新人を育てるための改善を行いました。その後も積極的に鈴木農園の舵取りを行い、いまでは、鈴木農園の専務兼、まどか菜園の責任者として活躍しています。
「ジャンボなめこ」は、鈴木農園が開発したオリジナルの種をオリジナルな栽培方法で作り上げた商品です。ヒラタケの市場縮小や原発事故の影響など多くの困難を乗り切り、鈴木農園が輝いているのは、まさに鈴木農園が大切にしているオリジナリティという底力なのではないでしょうか。

鈴木農園01
左:スタッフの女性と鈴木清美さん 右:ただ今なめこ栽培中

【 郡山市の生産者との出会い06 仁井田本家 】

仁井田本家

自然の力、自然酒の力

貴醸酒とは、仕込みの最終段階で、水の代わりに日本酒で仕込んだお酒です。
特徴は、独特の甘みと上品な味わいですが、貴醸酒の歴史は意外に浅く昭和48年に誕生しました。
今回ツアーメンバーが「甘ーい」「美味しーい」と声を上げながら試飲させていただいた貴醸酒は、仁井田本家の「百年貴醸酒」です。
仁井田本家は、郡山市の南東部、田村地区で300年続く蔵元です。つくっているお酒は「自然酒」と呼ばれる、自然米100%、天然水100%、純米100%の日本酒です。
仁井田本家の酒づくりは、米づくりから始まります。米は、自社田で農薬も化学肥料も使わずに栽培します。はじめは「そんなことが出来るはずは無い」と言われながらも、18代目蔵元で杜氏の仁井田穏彦さんは、日本の田んぼを守るという理念を掲げ、自然の力を信じた酒づくりを続け、2011年、ついに、仁井田本家の酒をすべて自然米使用の純米酒にしました。
現在、仁井田本家の金寶自然米栽培田で毎年開催される「田んぼのがっこう」には、たくさんの人が集まります。田植えや草取り、稲刈りなど、できるだけ人の手で行う伝統的な栽培方法を学び、楽しんでいます。
仁井田本家では、年2回の感謝祭と月1回のスイーツデーが開催されています。感謝祭では、仁井田本家と志を同じくするたくさんの仲間がお店を開くお祭りイベントを楽しみ、スイーツデーでは、仁井田本家のオリジナルスイーツを中心に和気あいあいとした雰囲気を楽しむことができます。

仁井田本家01
左:仕込みの説明 右:仁井田本家の田んぼ

【 郡山市の生産者との出会い07 たくさんの方とたくさんの体験 】

さいごに
今回のツアーを企画した郡山市農林部園芸畜産振興課の小林さん

さいごに

ツアーではたくさんの方にお世話になり、たくさんの体験をすることができました。
その記憶として写真を残します。みなさんありがとうございました。

ありがとうございました
どうもありがとうございました。

2018.08.28-29 取材
文・写真:BUN


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