100年ふくしま。

vol.025 No.3+ 薄井康利さん

2017/12/28

vol.025 No.3+ 薄井康利さん

100-FUKUSHIMA Vol.025

No.3+ 薄井康利さん

No.3+は、ちいさな文具屋さんです。

No.3+の文具に出合ったのは、古民家を事務所とする会社が開いたイベントだった。
イベント名は「ナナいちLIFETIME七ツ池市場」。No.3+は、絵本屋さんと共に出店していた。
こういう場で文具をメインにした出店者に出合うのは初めてのことだった。
日常に楽しさを添えるような文具や雑貨が手に取りやすく並べられている。その自由さ、センスの良さに目を見張った。
ひときわ目を惹くのは万年筆。ポップなデザインとインクの色に目線が行ったり来たり。万年筆のことを語るオーナーの言葉に聴き入ることしばし、それをきっかけに話が弾み、話題も広がっていった。

vol.025 No.3+ 薄井康利さん

好きなモノは自分を支えてくれる存在

No.3+には、定番のものから初めて目にする珍しいもの、ユニークなもの、東北ではここにしかないものが置かれている。
オーナーの薄井康利さんがお店を始めたのは、2014年の10月2日のこと。現在4年目に入った。
「文具を集め始めたのは20代の頃です。古い椅子や小物、箱物にも惹かれ今でも集めています。文具にしても雑貨にしても出合いがあり一目惚れもある。初めはデザインの美しさだけで求めていましたが、モノの価値はそれだけではないことに気づくようになりました」
いいモノに出合ったら2つずつ求め、ひとつを使いもうひとつはコレクションしていたという。
「日々のモチベーションを高めるために、いい文具や好きなモノを持つことは必要だと思います。仕事や勉強にとり組むときに自分を支えてくれる存在なのかもしれません」

vol.025 No.3+ 薄井康利さん

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No.3+、店名への思い

「みんなの頭の中に3番目に入っているお店でありたい」
例えばどこかへ出かけようとするとき、まずショッピングセンター、次に食事をする場所、そして3番目にNo.3+が選択肢として入っていたらうれしいという。
薄井さんは、有限会社薄井印刷所の3代目の代表取締役でもある。
「祖父は若い頃、須賀川の夕刊紙を発行するマメタイムス社の記者をしていました。54年前、郡山市に印刷所を設立し、その後、父から私へと受け継いでいます」
No.3+の+には№4、№5と未来へ繋がっていくようにとの思いがこもっている。

vol.025 No.3+ 薄井康利さん
「父は生前、人の人生は3分の1が仕事だと言っていました。好きなことを仕事にするか、今している仕事を好きになるか。自分は小さい頃から後は継がないと思っていました。後を継ごうと決めたのは両親が体調を崩したのがきっかけでした」
後継者として役割と業務に力を注いだ。平行して今の仕事をどうしたら好きになれるかを模索した。辿り着いたのが文具店を始めることだった。
まるで関係のないことのように思える。けれどそうではない。どんなことで
も今している仕事に関わりをもたらし繋がっていく。
薄井さんの決断には、とらわれることのない自由なエネルギーのようなものを感じる。

vol.025 No.3+ 薄井康利さん

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無かったら作ってみよう

初めてお店を訪ねた時、薄井さんはカウンターの上でディスプレイ用の棚を作っている最中で、蝶番(ちょうつがい)の金具を取り付けているところでした。
「ちょうどいいものが無かったら自分でちょこちょこっと作っています。物作りは集中できるのがいい。箱を削ってリメイクしたり心を解放できる楽しい時間ですね」
調理士の免許を取得し、8年ほど料理人をしていたという薄井さんは、20代前半にいた神戸の街が大好きだといいます。
「この仕事も、神戸にいた頃に知り合った人との繋がりで助けられていることがあります。人と関わりを持ってしてきたことに無駄なことは何ひとつないのだと感じています」
自分は人の上に立つのが苦手。お店に来てくれるお客さまとは小学生でも対等でありたい、と薄井さん。
人との関わりは付かず離れずの関係、さりげないやさしさが身にしみると話します。

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No.3+
〒963-0108 福島県郡山市笹川一丁目122
024-900-2225
11:00〜17:00
祝日
あり

2017.12.04取材
文:kame 撮影:watanabe

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