100年ふくしま。

vol.019 菓匠きねや 窪田郁子さん

vol.019 菓匠きねや 窪田郁子さん

100-FUKUSHIMA Vol.019

菓匠きねや 窪田郁子さん

いい匂いのするお菓子屋さん
きねやへようこそ

本宮市にある「菓匠きねや」は、創業78年になる老舗のお菓子屋さんだ。
お店にはいると見渡す限りたくさんの和菓子と洋菓子が迎えてくれる。
入り口付近にどっしりと鎮座する大きなオーブン。シュークリームの生地を焼く4段の専用窯だ。クリームはお客さんの注文を受けてから詰める。
焼きたてのこんもりと積まれたシューのなんてチャーミングなこと。なにやら楽しげな声が聞こえてくるようだ。
どれにしようか。
いい匂いに誘われてお菓子を見て廻る心浮き立つひととき。どれもがオリジナルな魅力があり、ちいさなお菓子ひとつに込められた思いに心を馳せる。

きねや01

身体が喜ぶお菓子を
メイプルシュガーとの出合い

「お店にいらっしゃるお客さまと話しをする中で、甘いものは食べたいけれどカロリーが気になるという方が多いことに気づきました」
窪田郁子さんは、ご主人の窪田幸雄さんとご両親、スタッフの方々と共に「きねや」ならではのお菓子づくりをしている。
昔と違って甘いものはあまり食べないほうがいい、という現代の風潮の中でお菓子ってどうなのか、という抵抗もあったという郁子さん。そんな時にメイプルシュガーと出合う。
カエデの樹液から作られるメイプルシュガーは香りもよく、他の一般的な甘味料に比べるとビタミン、ミネラルの含有量が高くカロリーが低いのが特徴。着色料や添加物を含まない100%自然食品なので乳幼児に与えても安全なものだ。
メイプルシュガーとの出合いは低カロリーのお菓子、ロースイーツの開発へと繋がっていく。
「アレルギーを抱えている方にも美味しいお菓子を食べてもらいたいと思いました。アルゲンになる砂糖や小麦粉、卵、牛乳の代わりにフルーツや生ナッツ、そして上白糖を使わずにメープルシュガーを。当初はコストがかかり過ぎて商品化するのはとても難しかったですね」
お店の奥にはカフェスペースがあり、そこで郁子さんはお菓子教室を開催している。
「日々、お客さまとの会話を大切にしています。『喜びや楽しさを一緒に』をテーマに身体が喜び、ときめくようなお菓子づくりを伝えたいですね」

きねや02

小学生時代、茶道との出合い

「3人姉妹の長女で、母の躾はきびしかった。娘のことを思い一生懸命な母に対して私は決していい子ではなかったし、学校の先生の言うことを素直に聞けない自分もいました。いい子でいることに抵抗があったのだと思います」
夢中になると回りが見えなくなることもあったという郁子さんは活発な女の子で、友だちとガヤガヤとするのも一人でいるのも好き。時々、近くの川辺でひとりの時間を過ごした。
郁子さんは、小学4年生の時に茶道を習い始めた。
「初めて自分からやりたいと母にお願いしました。5年生の時のお茶会で、和三盆糖を使った生菓子の美味しさにときめきました」
茶道を通して四季折々の季節感を間接的に表現することを知った。茶道の精神は、お菓子づくりにも通じていることに気づいていく。

きねや03

きねや04

お好きなお菓子を紅茶で、ぜひどうぞ

カフェスペースは、お母さまから譲り受けた場所。郁子さんが小学生の頃に誕生した空間です。ランチタイムには、ふわふわのオムレツサンドや旬の素材を使ったスパゲティーなどがおすすめです。
郁子さんは、コーヒーと紅茶を美味しく淹れてお客さまにお出しするために、それぞれの専門店で勉強をしました。
紅茶を本格的に学ぶようになって気づいたことがあります。
「お菓子は紅茶を美味しくいただくためにあると感じたのです。和菓子も洋菓子も、どちらも紅茶とよく合いますね」
学ぶほどに紅茶への思いが深くなり2016年5月には、マスター・ティーエキスパートの資格を取得しました。
郁子さんは、お客さまの求めるものを尊重したいと話します。
「お祝いのケーキを頼まれたらば、お話をよく聴いてお客さまの顔を思い浮かべながら取りかかります。旬の果物との相性は大事で、これをスイーツにしたらどんなだろうと繰り返しイメージします」
その思いをご主人が受けとめ一緒につくり上げていきます。
「お菓子のイメージはお料理からもヒントをもらえます。外に出て、これいいなと思うものを増やして味の記憶を大切にしていきたい。いつか本宮を福島を表現するお菓子をつくりたいです」


いつも上機嫌でいたい。
豊かな気持ちで過ごしたい。
自分がそうあれば、回りの人も笑顔になる。

大変なことも楽しめば苦労にはならないと話す郁子さんからは、どこかきっぱりとした思い切りのよさが伝わってきます。

きねや06

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菓匠きねや
〒969-1132 福島県本宮市本宮下町45
0243-34-2341
8:30〜19:30
水曜日
あり

2017.09.05取材
文:kame 撮影:watanabe


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