100年ふくしま。

vol.006 花どころ山川 山川大介さん

100-FUKUSHIMA Vol.006

花どころ山川 山川大介さん

3月、花との出会い

3月になると会えるのが待ち遠しい花、ミモザ。
ミモザの花を知ったのは、旅先の鞄屋さんだった。
そこの奥さまが、ミモザを抱えて庭先から入ってきた。私は一瞬にしてその黄色い花に心奪われた。
そんな私を奥さまは庭に誘ってくれた。
初めて見るミモザの木は思いのほか大きくてそれは見事だった。
枝は力強く、葉は薄い緑色でシダのような形をしている。花はポンポン状の小さな花冠がたくさん集まって咲いている。
旅の途中だというのに一抱えのミモザを渡してくれ、感激したのを覚えている。
昨年の春先に「花どころ山川」を訪ねた。 店先には芽が出たばかりの花の球根が並び、暖かな日射しがふり注いでいた。
店内に入ると花たちが一斉にこちらを向いたように感じた。
奥のテーブルにはミモザの花がどっさりと置かれていた。
ミモザとの再会に心躍らせているとお店の方に声をかけられた。
「ミモザ、お好きなんですか。かわいいですよね。今日3月8日はミモザの日なんですよ」
教えてくれたのは山川大介さん。「ミモザの日」があるということを初めて知った。
一年後のミモザの日に必ずこの花屋さんに来ようと思った。

町の花屋さん

「花どころ山川」は、昭和54年に創業し37年になる花屋さんだ。
「花の好きな母が小さな町の花屋さんとして始め、時代に合わせて営んできました。現在は両親と自分、スタッフとで営業しています」
山川大介さんは、大学を卒業後にフラワーデザインを学び、店に立つ傍ら自社のフラワーデザインスクールで講師を務めている。
店内に入って驚くのは、置いてある花の種類が多いことだ。
季節の花はもちろん、珍しい品種の花を見ることができるのも嬉しい。初めて出会う花の名前をたずねることも花屋さんならではの楽しみだと気づく。

兄弟は4人、大勢の家族の中で育ちました

小さい頃は、忙しい両親に代わって祖父母に面倒をみてもらったという山川さん。
「4人兄弟でどこへ行くのもいつも一緒でした。あの頃は、ひいじいちゃん、ばあちゃんも居て大勢の家族の中で育ちました」
山川さんは、身体を動かすことが大好きな少年で小・中学生の頃はサッカーをしていた。
「チームでは、なかなかレギュラーになれなかったけれどサッカー自体が楽しかったから続けていたのだと思います」
子どもの頃から人前に出るのは得意ではないと話す山川さん。フラワーデザインスクールの講師を務めるようになってから人の前で話をする機会が多くなり、何とかそこを乗り越えていきたいと話す。
「母も講師をしていますが、母は明るく前向きな人で見習う所がたくさんあります。父も同じで人と気さくに話せるし、大勢の人を前にして話す場では、むしろ楽しんでいるように思える」
真っ直ぐに前を向き、ひと言ひと言をていねいに言葉にしていく山川さんの誠実な人柄が印象的だ。

自分を高めるもの

山川さんは、毎年開催される花屋さんの技術を競う花の全国大会「Japan florist of the year 日本花職杯」に出場し、2013年より3年連続ファイナリストに選出されている。
「毎回出場することによって多くの人と顔見知りになっていきます。同じ志を持つメンバーと切磋琢磨していくことが自分を高めてくれます」
花に触れながらひとつひとつの花の良さを感じ個性を見出し、デザイン性を探りながら作り上げていく。花に触れていると気づくことがたくさんあるという。
「花を挿すことに、こうでなければならないとか間違いというものはないのです。日常生活の中で一輪でもいい、好きな花を飾るだけでいつもと違う暮らしになると思います」

どんな時にも花を必要とし、求めてくれる人がいる

「6年前の3月11日。私はあの時お店にいて、長く強い揺れにどうすることもできずただ花瓶が落ちていくのを見ているだけでした」
この日はなんと娘さんの3歳の誕生日で、奥さまは娘さん、1歳の息子さんと3人でお祝いのケーキを買いに出かけていました。
「その夜はまんじりともせず過ごし、ケーキは翌朝に明るくなってから食べました。すぐに原発事故が起きて、妻の実家がある川崎に子どもたちを連れて一時避難をしました」
これからどうするかという自問自答の日々、人の助言や周りの情報に一喜一憂する中で、山川さんはお店を再開させます。
「すると、近所の方が花を求めて来てくれたのです。こんな大変な時に花を買いに来てくれる人たちがいる。そのことに驚き心をうごかされました」
どんな時にも花を必要とし、求めてくれる人がいる。
困難な状況の中でも普通の生活をしようとガンバル人がいる。
それならば自分が出来ることでこの地域のために力を尽くしていこう。
山川さんはここに留まり、店を続けることを決意します。

花束をお客さまとお話をしながら目の前で作る。
出来上がったものをお渡しするとお客さまの顔がパッと輝く。
自分がいただくのではないけれどと言いながら嬉しさを隠せない。
その先には花束を受け取る人の笑顔があります。

3月8日はミモザの日。
男性が女性にミモザの花を贈るイタリアの風習で、妻や恋人、友人、おかあさん、おばあちゃんに感謝の気持ちを込めて贈る日です。
花言葉は「優雅、友情、秘密の愛」。

山川大介さん
一級フラワー装飾技能士
花阿彌プロフェッショナルインストラクター
(公社)日本フラワーデザイナー協会公認
郡山フラワーデザインスクール
花阿彌ブルーメンシューレ郡山校講師

– – –
花どころ山川
有限会社ムーブ・プロ
福島県郡山市富久山町久保田字久保田62
TEL・FAX 024-934-2366

2017.03.08取材
文:kame 撮影:watanabe


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA