100年ふくしま。

vol.001 つちや農園

つちや農園

100-FUKUSHIMA Vol.001

つちや農園 土屋睦彦さん、土屋直史さん

日本の稲干し「ヨズクハデ」

猪苗代のつちや農園で、稲干しのイベント「日本の稲干し@つちや農園 今年もやります『ヨズクハデ』&more…」が行われた。
日本には様々な稲の干し方がある。
ヨズクとはフクロウのこと。島根県の山村に伝わる巨大なフクロウを模した「ヨズクハデ」は地域の特色が正確に伝承され、農民芸術としても完成されている。
ハデを組み上げた形が、フクロウが羽根を休める姿に似ていることから名付けられたという。
一説には神代の昔、海を守る2人の神様が陸に上がった際に稲の干し方に苦心する農民を見て、漁師の漁網の干し方を伝えられたことが起源とされている。
ヨズクハデは、材料も普通のハデの三分の一ですみ、狭い面積でもたくさんの稲束を干すことができ、強い風にも倒れることが少ない。
10月の猪苗代は風が強い。2日間に渡って行われた第一日目は、朝から雨風がやまず開催時間を午後からに変更した。

願いはひとつ、美味しい米になりますように

手にカマを持ち、長靴を履いた女性たちが集まってきた。すでに待機していた数人の男性たちの輪に入る。
ぬかる田んぼの中の作業は、しっかりとした動きやすい長靴を履くことが大事だ。田んぼに入り足腰をふんばり立つ。稲刈りが初めての人はそれだけでも大変だ。
初めての人はどれ位いただろう。みんなそれぞれの格好で黙々と稲を刈っていく。
稲を刈る人、バインダーを操作する人。束ねる人、運ぶ人、手渡す人。そして稲を積み上げていく人。
たくさんの人の手が動き、働き、少しずつ日本の稲干し「ヨズクハデ」が形づくられていく。
どれ位の時間が経っただろう。顔を上げるといつのまにか晴れ渡る夕方の空。すぐ目の前には雲がかかった磐梯山がそびえる。
なんて気持ちのいい景色。この風景の中で風を受け、陽の光を浴び、みんなそれぞれの思いで身体を動かす。
願いはひとつ。美味しい米になりますように。
「この稲は自然栽培のササニシキで、中丿沢温泉で温湯消毒したツワモノです。一時は全滅したかと思いましたが、実ってくれました」
つちや農園の土屋睦彦(のぶひこ)さんと弟の直史(なおし)さんは、日焼けした顔に風を受けながら稲穂を見渡す。
「『ヨズクハデ』を作る過程で、猪苗代に伝わる猪苗代流の稲の手刈りや天日干しも学んでいきたい。新たな試みとして、新しい『日本の稲干し』にも挑戦できたらいいなと思っています」
土屋兄弟

米が旨いと心も健やかになる。つちや兄弟の願い

「米は優秀な作物です。どれもそんなにまずい米は無いと思う」と睦彦さん。農作物は作り手で変わる。誰がどんな思いで作っているか、人が全てですと言い切ります。
「米が旨いと心も健やかになる。人は美味しいものを食べると幸せになります。そのために作っています」
つちや農園では有機栽培・特別栽培で米作りをしており、米作りのコンテストでは数々の賞を受賞しています。
直史さんは、自然栽培で「亀の尾」という米作りに取り組んでいます。
「亀の尾は、コシヒカリやひとめぼれの原種、祖先米で自然栽培でないと作れない品種です。農薬や肥料を使わない自然栽培はとても難しく、実らないで終わってしまうこともあり半分採れればいい方です」
草や虫、微生物。いろんな生き物と共生しながら互いを生かし合う、ひとつの森のような田んぼで出来る米を作るのが夢です、と目を輝かせて話します。

つちや農園のお米は、炊きあがる匂いが違います。
あったかいごはんの匂い、しあわせな匂いです。
しあわせな香りに包まれていただく美味しいごはん。
さてごはんのお供は何にしましょうか。

農園での作業風景
2016.10.9取材

土屋睦彦(ノブヒコ)さん。
ノブヒコさんは、東京農業大学を卒業後、しばらく音楽活動をしていました。両親にはやりたいことをやらせてもらいありがたかったと話します。猪苗代で農業を始めて12年、今では米作りを取り上げられたら自分はどうなってしまうのかと不安になると笑います。

土屋直史(ナオシ)さん
ナオシさんもまた東京で音楽活動をしていました。地に足をつけた生活をしようと兄のノブヒコさんと農業を始めたのは10年前のこと。ノブヒコさんから多くのことを学び、自分の米作りを模索していく内に自然栽培にたどり着きます。今では米作りは自分の生き方そのものだと話します。

■受賞歴
日本有機農業生産団体中央会 福島県特別栽培農産物認証取得
○全国環境保全農業奨励賞(会津有機米研究会)
○第12回米・食味分析鑑定コンクール国際大会 地域品種栽培部門金賞(ひとめぼれ)
○第2回大阪府民の選ぶいっちゃんうまい米コンテスト 入賞
○第15回米・食味分析鑑定コンクール国際大会 若手農業経営者男性部門 特別優秀賞(かぐや姫)
○第1回すし米コンテスト・国際大会 特Aランク賞(ひとめぼれ・かぐや姫)
○第8回あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト 金賞(コシヒカリ)

■有機栽培米とは
過去2年間、化学合成農薬や化学肥料を全く使っていない農地で栽培されたお米です。

■特別栽培米とは
化学合成農薬および化学肥料の窒素成分を慣行レベルの5割以上削減して生産したお米です。
つちや農園の特別栽培米は『化学合成農薬7.6割減、化学肥料不使用』です。

■自然栽培米とは
化学合成農薬および、化学、有機問わず肥料を一切人為的に施用せず、天地自然の大いなる『偉力』によって栽培されたお米です。 厳しい栽培環境を生き抜いた稲の生み出したお米は生命力の輝きが溢れます。
つちや農園の自然栽培米はJAS有機認証を取得しています。

■亀ノ尾【自然栽培米】
明治26年に山形県の篤農家阿部亀治氏により発見育成された伝説のお米。
全てのブランド品種の粗であり、その食味の良さから大正時代には広く栽培されましたが、農薬化学肥料を使用する現代的な農法に合わず、栽培も難しいため現在ではほとんどその姿を見ることはありません。食用米、寿司米、酒米といづれも評価の高い良食味品種です。

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つちや農園
〒969-3141
福島県耶麻郡猪苗代町大字磐里字百目貫690
TEL 080-1852-0722
FAX 0242-93-5003
E-mail tutiyanouen[at]kusanone.jp


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