郡山全集

プチ・フルール 菊田喜彦さん

petitfleur

郡山全集|植物の力

044 菊田喜彦さん 「プチ・フルール」

もの言わぬ植物、こんな素直な生き物はない

プチ・フルールの菊田喜彦さんは、根っからの植物好きだ。
「植物は、置かれた環境の中でどのように生きるかを知っている。日なたでは葉を細くし、日かげでは葉を広くする。自分と光の関係をちゃんと知っている。あたりまえのように自分を生かしていく植物に心を動かされます」植物っておもしろい。こんな素直な生き物はないという。
「コケだって植物。それに目を向けるか向けないかなんですね。その寡黙な小さなものを生き物として身近に感じることに喜びがある。それを伝えたい」という。
菊田さんの実家は、シクラメン栽培を営んでいる花農家だ。ハウスの中の作業を見て育ち、小さい頃も自分ができることは何でもした。「ほんの子どもの頃から手伝いはあたりまえのようにしていました。植え替えや、土づくりなどは自然に学んでいましたね」
将来は、花の都パリで花屋さんをやりたい、小学校の卒業文集にはそんな夢を熱く描いたという。

01
菊田喜彦さん。好きな花は、ビオラ。
02
「尊敬している人は、両親です」
03
ガーデンデザインの設計図。
「季節を通してどこかで花が咲いている庭を提案したい」
04
植物は置かれた環境で精一杯生きる。
こんなに素直な生き物はない。
05
手がけた庭々。
06
いつも着ているお気に入りのジャンパー。3着持っている。「ロゴはお店のスタッフが作りました。自分にとっては、宝ものです」。

今は植物に触れているのが、ただただうれしい

菊田さんは、農業短期大学を卒業後、単身アメリカに渡る。
「常に先を行くアメリカを見てみたい」
大学に通いながら、りんご農園やコンファーに関する仕事をし、2年間を過ごした。
低価格のものに手をかけ、流通を広めているアメリカは、10年先を行っているように感じたという。
松だから和ではない。芝生の中に一本の松でもいいじゃないか。
「日本では、菊が仏花で、ポインセチアがクリスマスの花だと思っている人も多いと思いますが、アメリカには、そういう固定観念のようなものがないんですね」
決めつけることのない広がりのある自由なアメリカの考えや流通の世界は、若い菊田さんを刺激する。
「その頃の自分の中には、オレはオレなんだという思いが強く、人に決めつけられることへの抵抗のようなものがあったように思います」
日本に帰国後、働く場所をいくつか探し歩き、ようやく仕事先が郊外に落ちついた頃に、現在のプチフルールのスタッフとして夜だけ手伝うようになる。
「その後、プチフルールで働くようになるのですが、自分としては、ようやくたどり着いたという思いでしたね。12年前のことです」
この店で働くようになり、こわいものなしのオレのスタイルにこだわっていた自分中心の若い頃の思いは、いつしか人々に伝えることの喜びに変化していく。
今は植物に触れているのが、ただただ嬉しい。
「お客さまの笑顔に会えればいうことなしです」と笑った。

花などなくても生きられるという、そんな世の中はせつない

ひとりひとりのお客さんと長くつきあいたい。
共感できる方と一緒に成長していきたい。
5年ほど前から庭造りにたずさわるようになり、そんな思いが強くなっているという。
「やってもらえる、ではなく、あの店のあの人に聞いたらできるかもしれないという存在になりたい。構えなくてもできるんです。庭って思いのほか低予算でもできる事はたくさんあるんですよ」
気軽に声をかけてもらえる、街なかの小さな花屋の自分でありたいという。
「庭は植木鉢ひとつから始められる。アイデアひとつで思うようにできるものです。木陰をつくりたい、とか、ただ植物が好き、というでだけでもいいのです。実のなる木があったり、季節を通してどこかで花が咲いている庭を提案したいですね」
花などなくても生きられるという、そんな世の中はせつない。菊田さんは、大きな目を見開いてそう語ってくれた。
プチフルール(ガーデン部門)は、2009年春からモデルガーデンを常設し、花や植物に関わる教室や、人々が楽しく集う場所としてリニューアルする。

ひとりのお客さまのために。花に込める思い

自分の挿した花を大勢の人に見てもらうことへの喜びとその思いは、やがてひとりのお客さまのためへとつながり変化していく。
「お店を開いて良かったのは、お客さまと直にお会いできることです。ご来店いただいたお客さまと直接お話をしながら、どこまで花でその人に近付けるかお客さまの立場に立ってアレンジしていく。選ぶ花はその人のイメージで決めていきます」
花一本でも気持を込めてその人のために選び、表現したいと章浩さんは言う。
花のアレンジは二人ともそれぞれに違う。
「どう違うかは言葉にできない。この花のとなりにはこの花は置かない、というような自分なりのルールのようなものがお互いにあるのかな」そう問いかける育江さんに章浩さんがゆっくりと頷いた。
市場からの仕入れは、育江さんが担当している。
「週に3回、花市場に行きます。市場からお店に来たいろんな花の一本一本をお客さまに伝えてお渡ししたいですね」
花は、今までもこれからもずっと自分たちの側にあり、生活に欠かせないもの、無くてはならないものだという。自分の好みの花をたくさん仕入れて花に埋もれていたいと微笑んだ。

プチ・フルール(ガーデン部門)

  • 郡山市駅前1-5-7 メルセデスビル2F
  • 024-933-3203

プチ・フルール(本店))

  • 郡山市駅前1-5-8 1F
  • 024-936-3214

2009.01.16取材 文:kame 撮影:kaswauchi


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