100-FUKUSHIMA Vol.033
器ト雑貨 リコ出張所 根本かおりさん
あの料理をこの皿に。イメージすることが楽しい
器は使ってこそのもの。
「器ト雑貨リコ出張所」の根本かおりさんはそう言う。
あの料理をこの皿に盛ったらどうだろうとイメージすることが楽しい。
もともと料理が好きなかおりさん。自分が作るいつもの料理が、その器に盛ることで美味しそうに見える時、器とぴたりと合った時。そんなささやかな「嬉しい」が明日への活力へと繋がると話す。
例えば、やちむんの皿。「やちむん」とは、沖縄の言葉で「焼き物」のこと。沖縄で長い間使われてきた素朴で温かみのある昔ながらの手仕事の器だ。
このやちむんの皿に、かおりさんは何をのせるだろう。焼きたての餃子をきれいに並べるか、さり気なくくずして盛るか。朝食のスクランブルエッグをふわりとのせるだろうか。
かおりさんのキャベツ千切り専用どんぶりもあるそうだ。
叶うなら、かおりさんの食器棚をのぞいてみたい、そう思った。
一大決心をしてリコ出張所を
器ト雑貨リコ出張所は、2017年9月にオープン。大人の日常着や子供服を扱うセレクトショップRicoの姉妹店だ。2つの店は同じ建物の一軒隔てた場所にある。
縁あってご主人の根本敦史さんと知り合い、二人でRicoを営んできた。
「器は根本クンが好きなものを少しずつ集めていて、気がついたら山のようになっていました。それで一大決心をしてリコ出張所を始めたんです。この店を通して器の好きな人と繋がりたい。ひとつひとつの器を見ながらお客さまと話をする、そんな時間を大切にしたいですね」
お店の誕生をかおりさんはそんなふうに話してくれた。
もうすぐ一周年を迎えるリコ出張所。ステキな器に囲まれ、かおりさんと話をする。つい長居をしてしまいそうな心地よい場所だ。
作り手に会いに行く楽しみ
本や雑誌などで心に響く器に出合ったら、それを作る人に会いに行く。
「今年の2月末から3月にかけては家族で沖縄の作家さんと会って来ました。
その方の手から生まれる器は表情が豊かで対話をするような楽しさがあります。3歳の娘もステキなお茶碗をいただいて嬉しそうでした」
かおりさんの出身は埼玉県。訪ねた方もまた埼玉県の出身で、会いに行くのが楽しみな一人だ。おみやげに草加せんべいをお渡ししたら、とても喜んでいただけましたとかおりさん。全国どこへでも作り手に会いに行き、ただ楽しく話をしてくる。友だちになれるのが最高にうれしいと話す。
お店にも家族にも、そして自分にも全力で
「閉店の7時を過ぎると、電池が切れたようになります」
お店が終わると娘さんを迎えに保育園へ。
我が子の顔を見てホッとする瞬間、緊張がゆるむ。
夕食の用意へと気持ちを切り替える大切な時間でもある。
気がつけばお店にも家族にも全力で向かう自分がいる。
自分の好きなものは、はっきりとしている。
器を見て、「これ」と感じるものは迷わず買う。
器に限らず、洋服でも靴でも雑貨でも値段はどうあれ、いいと思ったものは買います。そうきっぱりと言うかおりさん。
「ガマンできないということではない。ガマンはできます。ガマンはします。自分のものにする。そのためにガンバれることがある。ガンバって手に入れます」
そう話すかおりさんは、落ちついていてカッコよく頼もしく、魅力的な女性だ。
お店や旅先で、一目惚れした器と一緒に帰る時。
「今日からよろしく」という思いで新しい器をおろす時。
使ってみて初めて新たな魅力を知る時、そして使うごとに楽しさが増す時間は、何にも代え難いささやかな幸せかもしれない。
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器ト雑貨 リコ出張所
〒963-8851 郡山市開成5-19-19 大山ビル101
024-983-7640
11:00〜19:00
火曜
あり
2018.07.06取材
文:kame 撮影:watanabe