郡山全集|好きなものを見つけに
078 ギャラリー観 佐藤和宏さん
ギャラリー観、通りからの風景
駅に向かう途中、ショーウィンドーを眺めるのが楽しみな場所がいくつかある。
とりわけ気になるのが、ギャラリー観。通りかかるたびにディスプレーを見るのが楽しみな店だ。時々、ショーウインドーの設営風景に出会う。そんな時は幸運を手にしたような思いで、なにやらうれしい。
歩調をゆるめ、黙々と展示に取り組む人の動きを遠巻きに眺める。ほんの短い時間だけれど心躍るひとときだ。立ち止まってじっくりと眺めていたい気持ちを抱えその場を後にする。
幾日か過ぎてから通るのも楽しみで、いつもの通りの風景が違って見える。
完成されたディスプレーから人の思いが伝わる瞬間だ。
これはどんな人が作っているんだろう
ギャラリー観では、日本全国から世界各国の民芸品や手仕事の品などを展示し紹介している。
「作り手と使い手を繋ぐ、繋ぎ手として様々なジャンルの展示会を企画しています。お客さまには暮らしの中で心を豊かにしてくれるもの、楽しく使っていただきたいものをひとつひとつ手に取って見ていただきたいですね」
幼い頃から、家にある民芸品や暮らしの道具を見ながら大きくなったという佐藤和宏さん。
「両親が、その時々で好きで集めたものが家の中にありました。小さいながらこれは何だろう、これを作った人はどんな人なんだろうという思いがありました」
今でも雑誌や旅先などで気になるものを見つけると、これはどんな人が作っているのだろうと思う。いつか会いに行きたいという思い、それはものとの出会いがある限り心の中にあり続けるのだろう。
自分がいいと思うものとの出会い、それを作っている人との出会い。佐藤さんは、作り手との繋がりを通してお客さまに伝えることを大切にしている。
「この作品、この人、と思ったらふらりと会いに行くこともあります。どこへでも行きます。自分のことも知っていただき時間をかけて少しずつ親しくなっていくのがうれしい」
自分たちを取り巻くかけがえのない出会いがあればこそのやり甲斐なのだ。
「ここ数年、日本の手仕事は素材や後継者の不足という深刻な問題もあって、作り手が少なくなっています。無くさないよう絶やさないように少しでも手助けをして繋げていけたらと思っています」
子どもたちに商店街のことをもっと知ってもらいたい
「3.11の震災後には各地の作り手の方々から、福島ガンバレの励ましのエールをいただきました。音楽や文化、工芸、モノが力を与えてくれることをあらためて感じました」
震災当日、佐藤さんは配達に出かけるところでした。
その時の企画展は衣服で壊れるものはありませんでしたが、店内の壁の一部が音をたてて剥がれ落ち驚いたといいます。
「お客さまに怪我はなくホッとしました。しばらく営業はできませんでしたが、おかげさまで4月の中頃に衣服の企画展を再スタートできました」
みんながそれぞれに大変だった時期です。友人や知り合いの方々に助けられて再開できたと話します。
佐藤さんは商店街の組合や青年会などに所属しており日々、尽力されています。
その中の活動のひとつとして、子どもたちに商店街のことをもっと知ってもらいたいと考え昨年、小学生に読んでもらえる冊子「きみのまちにもガイレンジャーがきっといる」を発行しました。古くからの仲間たちに力を貸してもらい完成した22ページの冊子です。この冊子を基に、幼稚園や小学校で寸劇の活動などもしています。
思いのこもった力作です。県内の全小学校の他、図書館にも置いてありますので機会があればぜひご覧になってくださいね。
ギャラリー観
- 〒963-8002 郡山市駅前1-6-5(有)民藝サトウ1階
- 024-932-8756 FAX.024-932-5144
- 10:00〜18:30
- 火曜日
2015.06.27取材 文:kame 撮影:watanabe