もっと知りたい郡山の農業
イチゴ栽培 山田秀和さん
守山地区の人に支えられながらイチゴ栽培に励みます。
浪江町から郡山へ移り住んで
郡山市田村町の守山地区に住む山田秀和さんはイチゴ栽培に励んでいます。
山田さん家族は震災、原発事故後まもなく浪江町から郡山市へ避難しました。
「家族全員で姉の嫁ぎ先である郡山に身を寄せました。今の住まいは姉の家の近所で、犬の散歩の途中で出会いました」
売り家としての物件でしたが、山田さんの借りたいという希望に持ち主の方が快く承諾してくれたといいます。
「その後、隣の農地の地主さんが、畑を自由に使ってもいいよと言ってくれました。家具・寝具、農機具や材料までも提供して手伝っていただき、守山地区の人たちには身内以上に支えられています」
現在は農地を利用してハウスを建て、イチゴ栽培に取り組む山田さん。山田さんの作るイチゴには守山地区の人たちへの感謝の思いがこもっているのです。
美味しくて安心して食べられるものを
「両親は浪江町で米やイチゴを作っていましたが、自分はサラリーマンで農業の経験は手伝い程度。それで農業を学ぶために矢吹町の農業短期大学へしばらく通いました」
そんな折、天地返しという方法で放射線量が下がるということを知ります。2012年3月の啓蟄の日に山田さんはスコップ一本で天地返しに取り組んだのでした。
浪江町にいた頃、山田さんのお母さんはイチゴを始め、サクランボやブルーベリー、クリなど実のなるものを作っていました。お母さんが農作物を作リ始めたのは家族に食べさせたいという思いからで、ジュースやジャムなどの加工品も喜ばれたといいます。
山田さんのイチゴ作りの原点はお母さんの思いそのものなのでしょう。美味しくて安心して食べられるものを作りたいといいます。
イチゴ栽培の一年目。初めての収穫の時はどんな気持ちだったでしょう。
「花が咲いて実になりやっと赤くなった時には、もぎとりたくない、このままにしておきたいと思いましたね」
大きな瞳でやさしく笑う山田さんです。