もっと知りたい郡山の農業
水稲・野菜農家、七五三縄制作 星武子さん
一年を通して農業にいそしむ。
年期の入った七五三縄(しめなわ)作り
郡山市西田町で農業を営んでいる星武子さんは毎年、年末近くになると七五三縄(しめなわ)作りに忙しい毎日を送ります。
七五三縄は、新年の祝いに家の入り口に飾り、悪気が家内に入らないようにするためのものです。
「藁を手でもじって輪に下げていくのですが、3本のもの5本のもの7本のものと3種類あります」
「もじる」とは、よリあわせること。七五三縄作りは、稲刈りが終わって材料の藁が揃う11月頃から行われます。ご主人の建次さんのサポートを受けながら年末までには約1000組程を仕上げます。
「七五三縄は嫁に来た頃から作っています。小さい頃からおばあちゃんが農閑期に藁仕事をする傍らで、遊びながら手仕事を覚えて育ちました」
七五三縄作りは、武子さんの年期の入った手仕事なのです。
風評被害に苦しむ。それでも農業は楽しい。
武子さんは、建次さんと共に米を生産する他に野菜も育て直売所に出しています。
「野菜はアスパラやネギを作り、花は菊を育てています。カットネギの葉ネギは主に埼玉県の方から注文が入り出荷しています」
一年を通して農業にいそしんでいる星さんご夫婦ですが、原発事故の風評被害による価格低下には苦しんでいます。
「農作物は、放射線の検査をきちんとして安全だと証明しているのにもかかわらず、他県の検査をしていないものと比べて価格が安くなるのはなぜなのでしょうか」
武子さんはそれでも農業は楽しいといいます。土を耕し種を蒔く。日々の手入れを怠らずやがて収穫の時を迎える。出来具合に一喜一憂し、食べてもらうことでみんなに喜んでいただける。風評被害をのりこえ、ささやかだけれど心配や不安のない日々が早く訪れるよう、武子さんは祈るように両手で藁をもじります。