郡山全集

ら~めん工房 味噌屋 鈴木観照さん、信江さんご夫妻

2009/10/31
misoya

郡山全集|支え合う日々

054 ら~めん工房 味噌屋 鈴木観照さん、信江さんご夫妻

ここでないと食べられないものをつくりたい

ら~めん工房味噌屋は、味噌あじひとすじのラーメン店だ。
味噌は、日本人の食卓に欠かせない食品。タンパク質やビタミン、ミネラルなど多くの豊かな栄養分が含まれている。そんな味噌に思いを込め、ひたすら味噌ラーメンにこだわり続ける。
「地味噌、ごま味噌、からし味噌など数種類の味噌を使い分けています。味噌ラーメンは全部で8品、それぞれに味噌ダレの味わいを変えてあるので、好みの味噌ラーメンをお楽しみいただけますよ」
店主の鈴木観照さんは、真摯な眼差しで話してくれた。
「味噌は、地元の米、麹、豆を使って作っています。その土地でその風土のものを食べるのが一番うまい。地元の味でつくろう、ここでないと食べられないものをつくろう、そんな思いでひたすら味噌にこだわっています」という。

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店主の鈴木観照さん。
「こうみえて、絵を書くことが好きです。意外でしょ(笑)」
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奥さまの信江さん。
「子どもの頃は、おとなしくてどこにいるのかわからないような子でした。私も絵を描くことが好きなんですよ」

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子どもの頃から日々、育まれたもの

鈴木さんは、骨太でガッチリとした身体が印象的な方だ。
「自分は農家の長男で、両親が忙しかったので小学校の高学年の頃から朝ごはんを作ってから登校してましたね。掃除をしたり、妹たちの面倒もみていました」
学校から帰ると、食事の支度をしてから遊びに行った。井戸の水汲みなど出来る事はどんなことでもやったという。
「学生の頃に野球や陸上の短距離走もやりましたけど、この身体は小さい時から生活の中で自然に鍛えられてきたのだと思います」
忙しい両親を助け家の手伝いをしながら過ごした少年時代の鈴木さん。その日々の中で育まれたのは身体の成長だけではない。コツコツと手を動かすこと、ものごとに耐える力、人への思いやり、優しい心が培われていく。少年時代の日々は鈴木さんの土台のようなもの、原点だ。

若い頃は、無我夢中でした

「27歳の時に、チェーン店のどさんこラーメンを開店しました。結婚もしていてサラリーマンでしたが、自分で商売をしようと思い、麺が好きなこともあってこの道に入ったのです」
20代の若い頃は無茶もしたし無我夢中でした、と鈴木さんはいう。オープンして半年ほど過ぎた頃、奥さまの信江さんが体調を崩す。
「もともと身体は健康だったので、ただ疲れているだけで具合が悪いとは思わなかったのです。それが十二指腸潰瘍で大きな穴ができてしまって。アッというまに7キロやせてしまいました」
信江さんは、落ちついた口調で静かに話してくれた。
「しばらく入院しその後、徐々に回復して仕事に復帰しできるようになりました。子どもたちは、実家に預けてめんどうをみてもらい両親にはしっかりと支えてもらいましたね」
店の経営は順調に進み、常連さんも少しずつ増えていった。その間鈴木さんは、本場札幌を始め全国各地の味噌ラーメンを食べ歩きいろいろな味噌ラーメンを研究していく。そしてついに平成10年6月30日に念願の自分たちの店を持つ。ら~めん工房味噌屋の誕生だ。

天台宗、ご住職との出合い

二人には、それぞれに成人した3人の娘さんがいる。
「実は、もうひとり子どもがいたのです。2番目の娘だったのですが生まれつき心臓が悪く、3歳の誕生日を迎える一週間前に亡くなりました」
無念の思いを抱える二人の心を救ったのは、お寺のご住職との出合いだったという。
「心を動かされましたね。何度か話を伺ううちに、出家することを考えるようになりました」
その後、鈴木さんは出家を決意し「観照」という名をいただく。淡々と語る鈴木さんを信江さんは、言葉少なく静かに見守る。

フラダンスは、神に捧げる神聖な踊りなのです

「実は、味噌屋をオープンして数年後に転んで大腿骨を骨折してしまったのです」と信江さん。入院生活と身体が思うようにならない不自由な日々が続く。
「あの時は落ち込みました。そんな私の心を支え励ましてくれたのは主人でした。ありがたかったですねえ、自分にとってなくてはならない人だと思い知りました」
そう言って朗らかに笑う信江さんの楽しみはフラダンスを踊ることだという。
「退院後のリハビリに弟のお嫁さんに進められたのがはじまりです。もう6年になりますが楽しいですよ。気持ちが明るくなりますね」
フラダンスは、神に捧げる踊りなのだという。
「フラダンスを教えていただいている先生にそう伺いました。楽しいだけではない神聖な気持ちを心がけて、身体を動かすようにしています」
穏やかな笑みを浮かべ、信江さんはそう話してくれた。

ら~めん工房 味噌屋

  • 郡山市熱海町高玉字南麻生沢1-97
  • 024-984-4000
  • AM11:00~PM22:00 ラストオーダーPM10:00
  • 第1・3・5水曜日
  • http://www.misoya.info/  

2009.09.29取材 文:kame 撮影:watanabe

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