郡山全集|郡山、カフェ時間
029 プレイタイムカフェ
プレイタイムカフェ。
そのカフェは大通り沿いにある。
近くに学校があり、若い人の声が往き交う開放的な通りだ。
晴れた日には、楽しそうにおしゃべりをしながら、雨降る日は傘をさしワイワイと行き過ぎる。
店の前には、ひとりがけのシンプルな椅子が3脚。茶色い窓枠が美しく、立て看板のシンプルな色使いが目をひく。
店主の丹治徹さんが営むプレイタイムカフェは、2001年5月にオープン。今年で8年目にはいる。
音楽との出会い。僕はイギリスに行く。
はじめてドアを開けたとき、なつかしい空気につつまれた。
子供の頃、誰かに手をひかれ訪れた遠い記憶の中の空間。夢の中で足を踏み入れた場所。ただいま、と声をかけてしまいそうなノスタルジーあふれる店内だ。
「基本は喫茶店。お茶を飲んで音楽を聴きながらゆったりと過ごせる場所をつくりたかったのです」と丹治さん。
なくてもいいものだけれどあると潤いが増すもの。本当はすごく大切で人の心に必要なもの。そういうものを感じられる場所をつくりたかったという。
中学校1年生のときに音楽と出会い夢中になった。
「ラジオの深夜放送やNHKFMのサウンドストリートをよく聴いていました。YMOの坂本龍一のMCから音楽の世界観がどんどん広がっていき、その頃からイギリスに行こうと決めていました」
高校を卒業後、東京の夜間のスタイリスト専門学校へ行く。数年後に単身で念願のイギリスはロンドンに渡る。
「写真を撮るのがひとつの目的でした。あとはライブハウスに行ったりして音楽ばかり聴いていましたね。2年ほど過ごしてきました」
音楽なしでは今までもこれからも生きていけないという丹治さん。
「音楽の延長にいろんなものがあり、人との出会いがあるのです」
店内で音楽仲間とライブをやったり、絵本の幻燈会を行ったりする。
今年の1月には、仲間たちと味噌作りの仕込みをしたという。
「船引で畑を借りて、大豆を育てることからはじめたんですよ」と嬉しそうに笑った。
大好きな打楽器。
ふるさとのちょうちん祭りの思い出。
丹治さんは、現在2つのバンドを組んでいる。
「打楽器が好きでブラジルのいろんな楽器をやります。アフリカの太鼓やジャンベもいいですね」
丹治さんは二本松出身。「ちょうちん祭りのお囃子に出られるのは小学校4年生からなんです。小さい頃から太鼓が好きで、その時を首を長くして待っていたんですね。ところがちょうど父の転勤で引っ越しすることになって。お囃子の練習もできなくて、くやしく悲しい思いをしたのを今でも憶えています」と思い出を話してくれた。
丹治さんは不思議な人だ。少年のような仕種とはにかむ瞳、年令を感じさせない独特の雰囲気と魅力を持つ。
「この髪型ね、実は小学校のころからずっとそのままなんですよ」とうち明けてくれた丹治さん、お話を聞かせてくれてありがとうございました。
プレイタイムカフェ
2011年4月30日をもちまして閉店しました。
- 〒963-8851 郡山市開成5丁目19-19-103(大山ビル103)
- 024-935-7035
- AM11:00~PM22:00
- 木曜日
- 有り
取材 文:kame 撮影:kawauchi