郡山全集|郡山の読書空間
004 美味餐庁 メイウェイサンチン
魅力的なカウンター席で
その人は、若々しいというより可憐な感じがした。
60代半ばぐらいだろうか。美しい白髪の女性が一人、カウンター席で本を読んでいた。
カウンターは広くゆったりとしており、食事はもちろん本を読んだりものを書いたりするのにもちょうどいい。大きめの椅子も腰を下ろすと包まれるような心地よさがある。
照明は少し落としてあるが、本を読むのには充分な明るさだ。
美味餐庁のカウンター席には不思議な個室感がある。本を読んでいる女性からはまるで自分の部屋にいるような落ち着いた空気が伝わってくる。
夏の終わりの昼下がり。目を落とす本のかたわらにはガラスのティーポットが置かれている。ジャスミンの花だろうか。ティーポットの中で茶葉がゆらゆら揺れている。
街に灯がともる頃、夕暮れ時の風景
「カウンター席は、特に常連さんに評判がいいですね。予約をされてお一人でお見えになる方もおります。もちろんカップルでご利用される方も多いですね」
美味餐庁は窓からの景色が美しい店だ。カウンター席は一段高い場所にあり、どの席からも窓からの景色を一望できるようになっている。
お店の方のおすすめは、街に灯がともり始める頃、夕暮れ時の風景だ。「ビルの灯や、行き交う車のヘッドライトがまだ薄明るい空気に溶けてきれいですよ。これから秋になり冬を迎え、雪の降る季節も幻想的で素敵ですね」と教えてくれた。
美しい花茶で午後のひとときを
駅中ということもあって、電車の待ち時間や待ち合わせにちょっとお茶を、という方も多いですね。混み合うランチタイムを過ぎれば、ゆっくりとおくつろぎいただけます」
中国のお茶、紅心百合(こうしんゆり)をいただく。ガラスのティーポットの中、広がる茶葉の中から百合の花が咲く。抽出する時間によって味の変化を楽しめる美しいお茶だ。ごく小ぶりのグラスに注いでいただく。お湯を足しながらお変わりできるのも嬉しい。本を読みながらゆっくりと味わいたい。
美味餐庁(メイウェイサンチン)
- 郡山市燧田195 JR郡山エキナカ2F
- 024-921-8181
- AM11:00~PM22:00(ラストオーダー21:30)
- 不定休
2006.09.06 取材 文:kame 撮影:BUN