もっと知りたい郡山の農業
畜産業 佐々木利定さん
本当に食べたい人に届けたい。
生き物の力を活用して
内環状線がつながり住宅や商業施設が増え、発展を続ける郡山市八山田。そこで佐々木利定さんは、奥さまの康子さんと畜産業を営んでいます。
佐々木さんは、牛の肥育をしながら循環型の農業もしています。 牛糞堆肥を水田に使い、稲作から出る藁を牛に与える。昔は大半の農家がそうしていましたが、今は化学肥料を使う農法が多くなっています。
3・11の震災・原発事故後、佐々木さんは悩み苦しみながらも努力し生き物の力を最大限に活用して米作りをし、福島牛の生産を続けています。
「全頭検査で安全は確認されていますが、以前より出荷が少なくなっているのが現状です。そんな中で今度いつ来るのかと待っていてくれる問屋さんが今の自分の支えになっています」
自分がいい!と思った牛が評価される喜び
佐々木さんが育てた牛は、主に福島牛のブランドで首都圏に出荷されます。これまでにも数々の賞を受けてきました。それらが牛肉として販売された時に佐々木さんは、自らその肉を買い求め、自分で食べたり食べて欲しい人に分けたりして仕事の成果を確かめます。
「自分がいいと思って出荷した牛が評価されると嬉しい。思いを込めて育てた牛です。本当に食べたいと思う人に食べていただきたいですね」
牛の品質は血統も大事だけれど繁殖農家での育ち方も大切。 一見、立派に見える子牛でも飼育してみると育ち方がよくなかったりすることもあるのでそれを見極めて子牛を仕入れるといいます。
「子牛は大きな物音や初めて聞く音にビクッとしたりする。ストレスを少なくして環境を良くしてやると餌をよく食べるようになります。ただ食べさせるだけではなくビタミンなどのバランスをコントロールしてやります」
小さい頃から牛に接してきた佐々木さん。学校へ行く前と帰ってからは必ず牛たちに餌をやっていたといいます。お父さんの跡を継ぎ福島牛の生産にたずさわり35年余になります。