郡山全集|支え合う日々
053 とんこつらあめん楽 戸村芳孝さん、佐藤裕子さん
元気な声が響きわたる店
「いらっしゃいませ!」
お店のドアを開けるとスタッフの元気な声が迎えてくれる。
お昼どきともなれば店内はほぼ満席。ひとりひとりのお客さまへの対応は丁寧で、スタッフ同士の声かけは元気よくキビキビとしている。同じ空間にいて清々しい感じがする。
若いスタッフが多く、それぞれ自分の持ち味を出してお客さまに接する姿が印象的だ。
「お店に入った瞬間にかけられた声は、心に残ります。マニュアル通りの接客ではなく、お客さまに届くようにといつも心がけています」
とんこつらあめん楽の戸村芳孝さんは、真っすぐなまなざしで話してくれた。
「この人はいつ休んでいるんだろう、いつ寝ているんだろう」社長、安積始さんとの出合い
「社長の安積さんと出合ったのは、アルバイト先の飲食店で、安積さんは店長をしていました。いやあ、やかましくてきびしい人でしたねえ。自分はまだ高校生でしたからびっくりしましたよ。世の中にはこんな人がいるんだと思いました」と戸村さんは笑う。
午前中の早い時間に行くともう出勤していて、夜中の2時、3時頃までずっといる。毎日いる。この人はいつ休んでいるんだろう、いつ寝ているんだろうと思ったという。
「学校を卒業してからは、飲食店の仕事につきました。安積さんは、独立して居酒屋を開店し、その後ラーメン屋も始めていました」
戸村さんが22歳の頃に再び出合い、安積さんの元で働くようになって今年で11年になる。
「ダメなことをきびしく言ってくれるのは、愛情があるからこそなんですね。ガンガン言われたその時はナニクソ!と思うけれど、まちがいなく成長していく」
高校生の頃にはなかなか理解できなかったことが今はよくわかるという戸村さんだ。
「お客さまが、お店に来てくださるだけでありがたいですね。お子さんの笑顔にはいつも癒され支えられています」
「「とんこつらあめん楽、台新店」スタッフの佐藤裕子さんは、笑顔も笑い声も抜群にステキな女性だ。人の心をすっぽりと包んでくれるようなあたたかさがある。
「実は私、去年の4月に復帰したばかりなのです。らあめん楽には8年前に入社して、その後まもなく思うことがあり退職して東京へ行っていたのです」
さまざまな職種を経験し帰ってきた佐藤さんは、ふたたびらあめん楽で働くようになる。
「自分は馴れるまでにすごく時間がかかる。今でも毎日、悪戦苦闘しています。でも以前よりは、視野が広くなりました。嫌な事があってもクヨクヨしないですね」
お客さんが、店に来てくれるだけでありがたいという佐藤さんは、家族で訪れる小さなお子さんとあれこれ話をするのが大好きだという。
「お子さんの笑顔にはいつも癒され支えられています」とニッコリ笑った。
「親への感謝の気持ちをどれだけ持っているか、客商売には大切なことです」
戸村さんは、スタッフの面接をする時に必ず確かめることがある。
「両親をどう思っているかを聞きます。キライだけれど感謝しているとか、父親がサラリーマンというだけでなくどんな仕事をしているかを知っているとかね。感謝の気持ちをどれだけ持っているかが客商売には大切なことです。それと人間性って伝わってくるものですね。みかけや口先だけでは何も伝わらない。多少、不器用でもいいんですよ。大事なのは人間性です」
話をしていて、その人が働いている姿が想像できることも重要なことだという。
「自分ですか?そうですねえ、適当にテキトーですね」
戸村さんは、そう言いながら佐藤さんと声をあげて笑った。
とんこつらあめん楽 台新店
- 郡山市台新1-30-10
- 024-931-8188
- AM11:00~PM22:00
- 無休
とんこつらあめん楽 富田店
- 郡山市富田町字不動前48-4
- 024-925-5088
- AM11:00~PM22:00
- 不定休
2009.09.28取材 文:kame 撮影:watanabe