郡山全集|郡山のアーティスト
010 サトウマサヤ
須賀川市出身、1987年10月生まれ
通りの風を受けながら
サトウマサヤは19歳のミュージシャンだ。
艶のある声、限りなくいくらでも歌えそうな声量。若者らしいハリのある歌声が印象的だ。
笑って泣いて
行きましょう
あしたはきっと晴れるから
人は涙を流すから
楽しいときに笑えるのさ
だからムリはしないで
自分らしく
顔を上げて涙をふいて、と明るく軽快に歌いあげる。メッセージ性のある好感の持てる詩とメロディだ。
16歳の頃から「少年」という名で歌っていた。ライブハウスを中心にうねめ祭り、ストリートミュージックフェスタなどにも出演する。
「路上ライブでは、見ず知らずの人が立ち止まって自分の歌を聞いてくれる。中には声をかけてくれる人もいる。それが嬉しい。人の前で歌うのは快感です」
去年の秋の終わりに「少年」から「サトウマサヤ」に変えた。
「人に無い自分の良さとは何だろう、といつも考えている」というサトウマサヤ。シャープな顎の線、横顔がきれいな都会的な印象の若いミュージシャンだ。
東京ではなくここで
小学4年生の頃、音楽の時間がすごく楽しかった。先生のピアノに合わせて歌うことが楽しみだった。
中学3年生の頃に音楽を始める。高校へ進学するが、悩んだ末に中退。音楽で生きていく決心をする。親の涙もたくさん見た。
「今では両親とも応援してくれてます」親への感謝は言葉ではいいつくせないと言う。
「実は今年の春から東京で活動しようと思っていましたが、尊敬する先輩から言われたことが胸にせまりました」
なぜ東京なのか、なぜここでは駄目なのか、俺たちはここで音楽活動をしよう。この郡山から全国に俺たちの音楽を発信しよう。サトウは先輩の熱い思いに心を打たれ、ここで音楽をすることを決意する。
「マーチン」のギター、こいつはオレの宝物
大切にしている「マーチン」のギター。サトウはこのギターを「こいつ」と呼ぶ。17歳の時に初めて自分で買ったギターだ。
「それまでは、父親のギターを使っていました。ずっと小遣いを貯めてやっと30万になった時は本当に嬉しかった」こうギュッとお金を握りしめて、とサトウは何度も左手を握ってみせる。
「一目散に楽器屋へ行きました。このギターに出会った時こいつは、オレに買ってもらいたいなあ、と言っているように感じました」初めて音を出したときのサトウの喜び、嬉しさがまっすぐに伝わってくる。
サトウマサヤのトレードマークは白いギターケース。「この辺では白いギターケースは自分しかいない。白いギターケースを持った男がいたらそいつはオレです」と茶目っ気たっぷりに笑ってみせた。
2007.01.22 取材 文:kame 撮影:BUN