今夜は「キッチンポレポレ」夕ごはん
12月も半ばを過ぎました。
気ぜわしい日々の中、誰かに作ってもらう夕ごはんを食べたい時があります。
遠い昔の冬の日、学校帰りの寒い道をひたすら家に向かって歩いたことを思い出します。
せっせと歩きながら思いめぐらせるのは夕ごはんのこと。
今日のおかずは何だろな。あったかいものが食べたいな。
カレーもいいな。早くあつあつの味噌汁がのみたーい。
家にたどり着けば明るい母の声が迎えてくれました。
思えばあの頃は、家に帰ればいつも母の作るごはんが待っていた。
毎日の美味しいごはんをあたりまえのように食べていた。
ごちそうさまの後片付けは姉と一緒に。母へのせめてもの感謝の気持ちでした。
今はあの頃の母の歳をとうに超え、誰かに夕ごはんを作ってもらうこともありません。
けれども時々、母の作る夕ごはんが恋しくなります。
そんな時には「キッチンポレポレ」の夕ごはんです。
「キッチンポレポレ」の夕ごはんには、「お母さんのごはん」のようなやさしい味わいがあります。
豆や野菜をふんだんに使い、ひとつひとつ丁寧に手をかけているのが伝わってきます。
おすすめの野菜夕膳は、具だくさんの味噌汁とご飯、だし巻き玉子などの料理7品が楽しめます。
味噌汁は黒豆大豆の味噌を使っており、おかわりをしたくなる美味しさです。
今年ももうすぐ暮れていきます。
毎日の食事に思いを巡らせ、一日一日を丁寧に過ごしたいと願います。
スタッフ一同 2012/12/20
七日町の天使へ
いつのまにか季節は変わり、吹く風は北風になりました。
風の強い日は思わず首をすくめてしまいます。
10月最後の日曜日に会津若松市の七日町通りを訪ねました。
この日は小春日和の穏やかな一日で歩くのにはちょうどいい日射しの中を散策してきました。
七日町には心惹かれる古道具の店「寧々や」があります。
店主の大関さんがセレクトした椅子や戸棚、本棚、机などがひっそりと置かれている店内はいつ訪れても落ちつく空間です。
あれこれ眺めているとガラスケースの上にかわいい天使を見つけました。
膝をかかえてちょこんと座り、目を閉じてちょっと微笑んでいるようにも見えます。
何か楽しいことを思いめぐらしているのだろうか。お気に入りの音楽を聴いているのかな。
髪の色は黄色。背中にちょこんとついている白い小さな羽が愛らしい。
ほんのり赤い頬と長いまつ毛に心動かされます。
連れて帰りたいなあ。でもあなたはここでこうしているのがいちばん幸せかもしれない。
また会えたらうれしいな。
2012/11/16
黒磯駅前 カフェセントロ
那須塩原市の黒磯駅前に「カフェセントロ」はあります。
大正時代のものだという建物は、窓枠ひとつにも温もりがあり心休まる空間です。
お店の中は禁煙ですが、入り口付近にタバコが吸える所がしつらえてあります。
私はタバコは吸わないけれど、初めて訪れた時からその場所には心動かされるものがありました。
「どうぞゆっくりとタバコをお楽しみください」という店主の声が聞こえてくるような心使いがそこにはありました。
今は、どこにいっても喫煙者にとって肩身の狭い思いをすることが多い時代です。
そんな中でさり気ない小さな心使いがとてもあたたかく感じられたのでした。
そういえば、いいお店だなあと思う所にはいい感じの喫煙場所があるように思います。
さてさて、カフェセントロの開店は朝の7時30分。
ちょっとドキドキのオドロキの時間です。
モーニングには、オムレツ、トーストに飲み物がついて680円。
ベーグルサンドも評判がいいらしい。
11時からは、パスタやカレー、サンドイッチ、スープ、サラダなど心のこもったメニューがそろいます。
特に、大きめのカップでたっぷりいただけるかぼちゃのスープは身も心も大満足。
ちょっと落ち込んでいる時や、体調が今ひとつなどという時には元気が出るおすすめのスープです。
飲み物は、テイクアウトもできるそうですよ。嬉しいですね。
いつの日か東北本線、普通列車に乗って訪ねてみたい。
そんなお店です。
2012/10/19
つきとおひさま
8月の夏の盛りに、喜多方市の「食堂つきとおひさま」を訪ねました。
ランチタイムが終わる午後2時半ちょうど、お店も一段落した頃でした。
お店の前は小物や器などの雑貨が置かれていて、お買いものだけでも出来る素敵な空間になっています。
そこからは、奥の食堂の様子が垣間みられ、ちょっと胸が踊ります。
食堂へは、建物の脇を通り抜けて行きます。
初めて来たのに、なにやら久しぶりに古い友だちの家を訪ねるような、なつかしい思いにかられながら玄関の戸を開けました。
ガラガラガラ、、、、。
こんにちは、みち子さんはいますか?
そう声をかければみち子さんのおばあちゃんが、あれ、あんたは誰だい?みち子はちょっと出かけていないよ。
そんなイメージが頭をよぎります。
上がり口は昭和の始め頃の玄関そのもので思わず立ち止まります。
左側に簡素な木造りの下駄箱があり、右側には廊下が続いています。
靴を脱いで足を踏み入れると、店主の明るい声が迎えてくれました。
「いらっしゃいませ。暑かったでしょう、うちは自然クーラーで扇風機しかないんですよ。ごめんなさいね」
そう言いながら、古い時代の扇風機を近くまで持ってきて風を送ってくれました。
わたしが、いえいえエアコンが効きすぎて寒ーいよりはいいですよ、と答えるとニッコリされました。
笑顔が素敵なチャーミングな女性です。
奥の部屋に本棚が見えます。壁一面のその本棚はそれは見事で、ため息が出るばかり。
本の背表紙を見るだけでもしあわせな空間でした。
つきとおひさまは、食堂です。もちろん美味しい飲み物やスイーツもあります。
おひるの時間
おやつの時間
よるの時間
があり、3つの時間をそれぞれにゆっくりと味わってみたい、そんな場所でした。
できることなら昼寝もしてみたい。これは叶わぬ夢でしょう。
2012/09/14
画廊のカニピラフ
月に一度、お昼時に訪れるレストランがあります。
ご夫婦二人で営むそのお店の名は「画廊」。古くからある洋食屋さんです。
駐車場からお店までの小道は緑に囲まれて、暑い日でもそこだけ空気がひんやりとしています。
黒い木造りの内装がどこか遠い国の古い建物を思わせ、落ちつく空間です。
日替わりランチの他、ハンバーグやオムライス、ポークソティ等のランチメニューも充実しています。
毎回メニューを眺めて、あれこれ思いをめぐらし落ちつくところがいつものカニピラフ。野菜と米をバターで炒め、サフランスープで炊いた本格ピラフです。
お米が一粒一粒ぱらりとしていてほのかなバターの香りと塩味が食欲をそそります。
ある時、ごちそうさまの後で奥さまについ聞いてしまいました。
「どうしてこんなに美味しいのでしょう?」
奥さまは、数秒間じっと何かを思う目をしてこう答えました。
「それは、ひとつひとつのものを時間をかけて丁寧に作っているからでしょうね」
ああやっぱり。
そうなんだ。
私はただただうなずくばかりでした。
たゆまぬ努力を続けるご主人と奥さまに拍手。
2012/08/17
黒磯ぶらり、静かな時間。
月旅先での楽しみは、その土地で生活し働いている人との出会いです。
黒磯のCAFE SHOZOの近くには、数件のお店が並んでいます。
雑貨屋さん、古道具屋さん、洋服屋さん、古書店。
どのお店もオーナーたちの店作りへの熱い思いが伺える素敵な場所です。
時々、夕暮れ時にふらりと訪れることがあります。
あと数時間で閉店という時刻。日射しも柔らかくなり、人だかりも一段落した静かな時間です。
お店の方と何気ないおしゃべりが嬉しいひととき。
お互いの眼差しもだんだん柔らかくなって不思議ですね、まるで昔からの知り合いのように思えてくるのです。
時々ふらりと訪れおしゃべりをして帰ることができるお店。
そんなお店が行く先に一軒でもあればなんて幸せなことでしょう。
人との出会い、会話は明日への活力に繋がります。
2012/07/27
桐子モダンの犬
新潟県加茂市にある桐子モダンのショールームを訪ねました。
桐子モダンは、桐の特徴を生かした家具のオリジナルブランドです。
伝統工芸の桐タンスからキッチンダイニング、リビング、ベッドルームなど生活に関わるあらゆるアイテムを提案しています。
桐子モダンを訪ねるのは今回で3度目。どこまでも続く新緑の美しい風景を眺めながら辿りつきました。
カフェへと続く床を上がると一匹のワンちゃんがまあるくなって休んでいました。
以前、寒い季節に訪ねた時には二匹のワンちゃんがいたよね。あの時にちょっと聞いたんだ。
一匹が病気でもう長くないことを。今はこうして日なが一日、横になっていること。
もう一匹のワンちゃんが心配そうにしていること。
そうか、友だちが逝ってしまったんだね。
そんなことを思いながら、少し離れたところからワンちゃんを見ていました。
聞けば、今このワンちゃんは亡くなった犬の名前で呼ばれているらしい。
すばらしくステキな名前なんだけれど。うーん、思い出せない。
うーん、今度訪ねた時にまた教えてもらおうっと。
2012/06/14
黒磯タミゼの光り
4月の最終日に黒磯タミゼを訪れました。
震災後は初めての訪問です。
みどりさんは、お店の前で花の手入れの真っ最中。
リネンのシャツドレスの袖をまくり、昌太郎さんとふたりで土いじりをしていました。
私たちに気がつくとすぐに側に寄り、話かけてくれました。
「地震はどうでしたか。大丈夫でしたか?」
震災後しばらくして、福島からのお客さまがひとりふたりと訪ねて来てくれたこと。
それぞれにみんな元気で明るく、ホッとしたこと。そして私たちを案じていたこと。
私はみどりさんに会えたのが嬉しくて、なかなか思いが言葉になりませんでした。
黒磯タミゼの空間は進化していました。
スペースは同じはずなのに奥行きに広がりが感じられ、ひとつひとつのものたちがゆっくりと息づいているようでした。
何故だろう、そんな思いで静かに見渡すと天井に届く板壁の高い所に小さな窓があることに気づきました。
ああ、あの光り。窓からの光りだ。
光りが射す方を見上げていると、みどりさんが話してくれました。
「去年の夏に昌太郎さんが壁を抜いて窓にしたんです。どうしても空気がこもってしまって。風が通るようにあちらの同じ高さのところも開けたんですよ」
そう言ってみどりさんは、ちょうど正面にある居住スペースの窓を指差しました。
素晴らしい。お見事です。
高い所から差し込む光りが、床に本棚にテーブルの上にまんべんなく柔らかく注いでいるのでした。
2012/05/14
友人のおすすめの店
少し前に、何年かぶりに古い友人が訪ねてきました。
あれやこれや懐かしい話に花が咲き、いつしか話題は食べ物のことに。
あそこのパスタが旨い。蕎麦だったらどこそこのぶっかけ蕎麦がいい。ラーメンを食べるならあそこに限る。話はつきません。
けれど彼は今、お医者さんに通っていてカロリーを制限しているらしい。うーんやっぱり〜。
珈琲を飲むときもノンシュガーの砂糖を携帯しているそう。うーん大変ね〜。
その彼が帰る際にこう言いました。
「明日の日曜日はね、お昼にタラゴンのミートパイを食べにいくんだ。大丈夫、朝は食べないで行くから」って。
いつもは奥さまの作る美味しい朝食を食べるのだとか。
ふーん、朝ごはんを抜いてまで食べたいミートパイかあ。
行ってきましたよ。珈琲とパイの店、タラゴン。
タラゴンは、国道沿いの深い森の中にありました。
赤い三角屋根の素敵なお店です。
小さな明かりがほどよく灯され、あっ好きな空間だな、とすぐに感じました。
給仕をしてくれる女性が、カップからあふれそうなカフェオレをそろりそろりと運びます。
無事こぼさずにテーブルに置いた時には思わず小さな拍手をしました。
その時の笑みのなんてチャーミングなこと。
そんな弾む思いでいただくパイはこの上もなく美味しくて。もうすっかり満足したのでした。
いいお店を教えてくれた友人に感謝。
2012/04/13
3.11の記憶 お鮨屋さんの話
震災後一年目を迎えた週末の金曜日に磐梯熱海町の「鮨処わかさや」へ行きました。
わかさやさんは、今はもういない年上の友人に教えてもらったお鮨屋さんです。もう30年以上も前のことです。
カウンターの前に立つご主人も少し耳が遠くなりました。
それでも元気にリズムカルに美味しいお鮨を握ってくれます。
ユーモアのある話ぶりは今も変わらず、いい具合の間をおいて話かけてくれます。
いつしか話題は3.11のことに。
「実はね、あの陸前高田市に親戚がいたんだよ。親戚5人ともみーんな津波に流されちまった。去年の秋にやっと行ってきたんだ。5時間かけて行ったのに2時間しかいれなかったよ」
隣でせっせと巻物を作る奥さまも話に加わります。
「海の近くに残った一本松、テレビなんかで見た事あるよね。そのすぐ近くに家があったのよ」
あの光景を目の前にしては、いやあ写真は撮れなかったよ。こうして生きているのが不思議なくらいだ。
ご主人はそう言葉を続けました。
津波で親戚の方を亡くされたという話は、自分の周りでは始めてのことで身につまされる思いでした。
あれから一年が経ちました。
3.11のあの日の夕方、宙に浮いたままの心で部屋を片付けながら見たテレビの映像を覚えています。
見事に手入れされた美しい3月の仙台平野に海の濁流がせまリ込む光景は忘れる事ができません。
あのとき一瞬にして命を絶った人たちが多くいるという事実を今も胸の中で反芻しています。
写真は、わかさやさんの穴子のお鮨です。とろりとした甘いタレと穴子のやわらかさにうっとり。
この上もなく幸せな気持ちになります。酢めしもお見事で、シャリだけでもいただいてみたい味です。
2012/03/26
なになに?いいことあるの?
風の冷たい2月の午後でした。
旅先のレストランの庭先で、大きな三毛猫にあいました。
鈴をつけているのでノラネコではなさそう。
近くに寄っても逃げようとはしません。
そうとわかればシャッターチャンス。
右から左からパチリパチリと撮っていると、軒下から子猫が顔を出しました。
あれあれなになに?
おもしろいことあるの?
ニャーニャーと鳴くその声はそんなことを言っているようです。
赤い首輪に白い鈴。
鈴はお母さんのとおそろいだね。
白いソックスを履いているような足は、ふっくらとして丈夫そうでなんて可愛らしい。
子猫が動くたびにチリンと鈴が鳴り、耳もぴくぴくと動くのでした。
2012/02/17
ネコの通る場所
2月に入り、寒い日が続きます。
先週の週末には、雪が降りました。日本海側を中心に全国的に雪だということです。
小さい頃から夜に降る雪が好きでした。
夜中は眠っているので実際には降っているところは見たことがありません。けれど翌朝、目を覚ましたときに母親が開けたカーテンの向こうに見える風景はいつも心を踊らせました。
枯れ木に白く降り積もった様子はとても美しく、布団の中から半分だけ顔を出してずっと見とれていたっけ。
ああ学校行きたくないなあ、このままこうしていたいなあ、休んでしまおうか。オナカよ痛くなれ〜。
そんなことをくるくると思い巡らしながら母親の声がかかるまでグズグズしていたのを思い出します。
近所には、何匹かのノラネコがいます。
時々、庭の片隅でひなたぼっこをしている姿を見かけます。
いつも家の周りを歩いているのはわかっているけれど、雪の日の朝に点々とついた足跡を見るとフムフムと妙に納得します。
2012/02/06
仲よく、楽しく、元気よく。
無事に2012年を迎えることができました。
新年おめでとうございます。
これから一年、どんな年になるでしょう。
本年もよろしくお願いいたします。
2012/01/12