100年ふくしま。

vol.028 古流武術研究修心会 佐藤光明さん

古武術研究修心会

100-FUKUSHIMA Vol.028

古流武術研究修心会 郡山支部 佐藤光明さん

前回、お話しを伺ったSPOOLの真壁崇さん は、この半年、古流武術の稽古に励んでいるという。
それらを学んで、生活に落とし込んでいきたいと話す真壁さんが、なんだかとても楽しそうで、
初めて聞く「古流武術」に興味が湧き、その稽古を見せてもらうことになった。

自問自答を繰り返す

構えた木刀を、身体の中心を通ってまっすぐ振り下ろす。それだけのことがなかなかに難しい。
「右手と左手が喧嘩してしまい、初めは思うように動かせないものです」
古流武術研究修心会の佐藤光明さんは、須賀川市の医療関係で働く傍ら、休日には郡山と須賀川で、居合、剣術、杖術などの古武術の稽古会を開いている。
古流武術とは、護身術・闘争術として生まれた日本古来の武技、武芸のこと。
練習会場には、武道の神「鹿島大神宮」の掛け軸があり、神様への挨拶から稽古がはじまる。
木刀はやさしく握ること。剣術において、右手は自我が強い自分、左手は素直な自分と言われ、両手の喧嘩を抑えるには、自問自答を繰り返すことだと教えてくれた。
「動き方、骨のつくりまで頭の中でイメージできないと、身体は動かせないもの。それは自分の身体を大事にすることでもあり、日々のコンディション作りにも役立ちます」
うまくやってやろうという気持ちがあると力がはいり、余計に動けなくなる。
道具に自分を合わせていくと、無駄な動きや刃先のブレがなくなっていく。
稽古を続けていくと、動作の真理がわかり、次第に、頭より先に身体が気づいてくれるという。

修心会01
佐藤光明さん。普段の穏やかに話される姿から一変、刀を握り相手に向かう時の印象はガラリと変わる。

お互いが砥石の関係

「時代劇や小説が好きで、池波正太郎や司馬遼太郎を読んでいました。勝った者だけの歴史でなく、側面や奥底に確かにあった歴史、侵略された側の、滅びの美学といったものに興味がありましたね」
二本松市出身の佐藤さんは、若い頃から時代小説や歴史、刃物に興味を持ち、その興味は、次第に本物の技へと向かっていった。関東では剣術の道場がいくつかあることを知っていたが、近くで学ぶ環境を探していた時、佐藤さんの目にとまったのが福島市で古流武術を教える、修心会だった。
「入門当時の私は生意気な気持ちがあり、棒きれ一本まともに振ることができませんでした。身体が言う事を聞かず、悔しくて頭にくることもあり、力み過ぎて、やればやるほど手のひらにマメを作って、よく怒られました。でも、一緒に学ぶ仲間がいて、先生も丁寧に付きあってくれたことで続けることができました」
佐藤さんはそこで武術の技だけではなく、精神性を学んだ。その後、先生が亡くなって道場がなくなり、同門の仲間は遠くに住んでいたため、佐藤さんは自ら稽古を続けられる場所を作ることになった。
「何かを残したいわけではなく、もっと自分本位に、これまで学んできたことが自分の中で消えていくのが嫌で、稽古仲間がほしかったんです。歳を取って放っておけば忘れてしまう。身体を動かすこと以外にも歴史を含めて語り合い、なるべくなら一緒に酒を飲めるような仲間をずっと探していました」
今日の稽古仲間を、やる気があり筋もよいから、早い段階でもっとハイレベルな稽古ができていくだろうと期待している。そして、この日の帰りは三人で飲みに行く予定だという。
「剣の稽古がなかったら、自分なりの歴史観や世界観も全く違うものになっていたかも知れない。自分の足場を固め、学ぶために、私はその人のために砥石になるような互いが磨き続けるための仲間がいれば、充実感と自信にもなり、活動も広がっていくと思っています」

修心会02

修心会
3月6日(火)、大島公民館で行われた稽古の風景。修心会には女性の会員も多い。

強さについて

「剣術だけではなく格闘技全般において、必ずしも身体が大きく力がある者が強いかというとそうではない。それとは違うところで、強さの秘密や秘訣があるのだと思います。時代小説の影響か、『風のような素早さ』『手まりのような柔らかさ』という強さに、かっこよさと浪漫を感じます」
剣術はできるならば使わない方がよい。武士の時代にも、夜道を歩くときには、危険な者がいる場所は避け、遠回りして行けという教えがあり、無駄に戦って傷つくということは決してしなかった。
「歳を取って思うのは、言い訳や逃げも含めてもっと臆病でいいんじゃないかなと思っています。もっともっと、臆病にならないとだめだ、臆病でいいんだ、と私の先生もくり返し言っていました。腕にものを言わせたい状況なら、ぶつかり合って倒れるまでやるでしょう。柔術の極意にあるように、力任せではなく、相手の懐に入って、手を取ったら『こういうのはやめよう』と相手の指を包んであげる。それでいいんだと思う。戦わない方法を選べることも強さだと解釈したいです」
強さについて話すのは難しく、どうも苦手だと佐藤さんは笑った。
戦い方から生き方を、自分も相手も大事に思いやる。そんなことが見えてくる。

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同志とつながってゆく力

佐藤さんはともに学ぶ仲間を同志と呼ぶ。
かつてともに学び、現在、岩手県で活動する同志も、そこで仲間を増やし活動を広げているという。
「岩手県の同志の元には、小学生や女性も多く入会しています。武術には、若い人たちにも受け入れられ、共感されるものがあるようです。彼らにどんな事情があって共感するのかを知りたい。それを知って、お互いの力に変えてつながっていきたいですね」
年齢、性別問わず、本質的な人とのつながりに楽しさがある。
「剣術を学んできたことで、こうしたつながりが持てることを知りました。世の中に研究者や武術家は沢山いますが、その端くれとして、郡山でいつの間にか仲間が出来たことはうれしい限りです」

今回の写真には、ポーズカットがありますが、一切演出はしておらず、画質もあまり良いとはいえません。
いつどこでなにが起こるのか分からないまま、シャッターを切りました。
それでも、佐藤さんの見事な動きだけは、お伝えできたのではないでしょうか。

修心会05

古流武術研究修心会 郡山支部
毎週土曜日 14:00〜16:00 須賀川市武道館 
 毎週日曜日 18:00〜21:00 安積町総合学習センター
 第1.3火曜日 14:00〜16:00 大島公民館
080-4902-6343
https://www.facebook.com/古流武術研究-奥州修心会-郡山-1430728197053288/

2018.03.06取材
文:yanai 撮影:BUN


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